4月9日に静岡市長選挙は投開票を迎えます。だれを選ぶと私たちの生活はどう変わるのか?今回のテーマは「人口減少」。解決の糸口すら見えないこの問題に各候補者はどんな答えを用意しているのでしょうか。
静岡市駿河区で自動車の金型などを製造・設計するメーカー「竹田サンテック」では、近年、人材の確保に苦戦しています。
<竹田サンテック 竹田哲也専務>
「新卒採用の時にブースを作ってもだれも来てもらえません。ここ4、5回誰も来ないので、違うルートからの新卒。といっても、なかなか採れていないのが現状です」
グループ全体で約90人いる社員のうち、20代は4人ほど。せっかく採用しても、すぐに都心の会社へと転職する人もいて、中小企業は特に苦労が絶えないといいます。
<竹田サンテック 竹田専務>
「人口減少の原因に対して、あまりにもざっくばらんな話しかされない。政治家含めてそういう方々ばかりなので、どこまで本気に人口減少に取り組むのか聞きたいです」
このままでは産業は衰退し、街全体の活気が失われることが懸念されるのです。
<和田啓記者>
「静岡市の大きな課題の1つは間違いなく人口減少。その転換点を生み出せるかは、次の市長の手腕にかかっていると言っても過言ではありません」
静岡市の人口は年々減少し、2017年に政令市の人口の目安である70万人を割り、2023年3月は68万284人。とうとう68万人も割り込む見込みです。20ある政令市の中では人口が最も少なく、さらに出生率も最下位。婚姻率も下から2番目とデータを見てもその深刻さが浮き彫りとなります。
<高校生>
「きょうだいの学年よりも自分の学年の方が人数が全然少なくて」
Q.進学先は県内・県外?
「やっぱり都会に行きたいなって」
<清水区在住の家族>
「若い人が残る理由がないといえば、ないかもしれないですね」
Q.大きくなったら静岡市に住みたいですか?
「(うん)」
「よかった。じゃあ大学もここでお願いします」
特に問題なのが、若い世代の流出です。
<静岡市 田辺信宏市長>
「生活の拠点は静岡市に置き続けることによって、家庭とか地域社会との絆を維持し、太くして次の世代を担う人材として育成する」
田辺市長はこの問題への対応策として、通学に使用する新幹線代を学生に貸与し、卒業後、静岡市に住み続ければ、返還を免除する制度を開始。その実績をみるとコロナ禍の影響もあり、制度を利用する学生が少なく、実質的な定住率を示す返還免除に至った割合も6割にとどまっています。
各候補はこの難題にどう立ち向かうのでしょう。
<山田誠候補(61)>
「この静岡で働こうと思った場合に働く場所がない」
<鈴木千佳候補(52)>
「政治がサポートしていくのが決定的に弱い」
<難波喬司候補(66)>
「出た人が戻ってくるためには何か。求心力がない」
人口減少は日本全体の課題でもあり、静岡市が1つの成功事例となりえるかが問われています。山田さんと難波さんは、人口減少の原因を若い世代にとって働きたい仕事がないと分析。
山田さんは土地の利用の規制緩和を通して、企業の誘致。
難波さんは企業が立地する土地を仕事を作る、そして、予算の配分が甘かった経済産業分野を強化するとしています。少し似通った提案をしているような気がします。
鈴木さんは経済的に子育て環境が整っていないとして、学校の給食費の無償化などを訴えています。
それぞれさらに細かい提案もしているので、街頭での演説やSNSなどをチェックしてみると、自分の関心事についての答えが見つかるかもしれません。