どうする“ハコモノ” 「交流人口拡大」目的も建設費は?採算は? 静岡市長選の争点

4月9日に投開票を迎える静岡市長選挙。今回のテーマは、いわゆる「ハコモノ事業」です。いろいろな施設を造ることは活気を呼ぶ一方で、莫大(ばくだい)なお金がかかります。各候補者はどう考えているのでしょうか?

JR清水駅前の銀座商店街。人通りはまばらで、閉店している店も少なくありません。

<清水駅前商店街振興組合 杉山治理事長>

「年配の人も多いので不安を感じている人がいるのかな」

いま、この清水駅周辺に新たな施設が造られようとしています。その1つが、水族館と博物館の機能を合わせ持ち、教育機能も備えた「海洋文化施設」。もう1つが、清水エスパルスの新たなスタジアムです。

杉山さんが経営する寿司店は、日本平のスタジアムで試合が行われる際、現地に出店しているといいます。

<杉山治理事長>

「半分以上がシャトルバスで静岡の方に帰られる方がいるので、その人たちがみんな清水駅に来るとなるとまたちょっと違うんじゃないかな」

Qハコモノが出来てくれた方がうれしい?

「人が増えるということを考えるとうれしいですね」

ただ、海洋文化施設の建設費は約169億円。新スタジアムについてはコストは不透明なままです。

<植田麻瑚記者>

「JR東静岡駅北口です。この場所に静岡市はプロスポーツの試合などができるアリーナ施設を誘致しようとしています。交通のアクセスが良く交流人口の拡大が期待されていますが、一方で財政の負担が大きいのが実情です。こうしたハコモノを巡る是非を問われるのが今回の静岡市長選挙です」

アリーナの建設には最大200億円程度が必要とみられていますが、具体的な進め方は新しい市長に委ねられる見通しです。

<静岡市民>

「ハコモノを造ったって働くところがなければ居つかないじゃないですか」

「なんかもったいないよね。あっちこっちにハコモノいっぱいあるじゃんね」

「子どもが小さいので子ども主体の遊べる場所は欲しいなと思う」

何が本当に必要で、何が不要なのか…各候補に聞きました。

<山田誠候補(61)>

「1つにはこの静岡の新たな目玉をつくるということ、そしてそれが観光の拠点、あるいは外から人を呼び込むこと。そしてもう1つはハコモノという中で、この静岡に住んでいる人たちが楽しめる」

<鈴木千佳候補(52)>

「静岡市は70万人の人口を維持するという目標を達成できないということで、逆にハコモノを造ってお客さんを呼んで交流人口が増えればいいということでハコモノ事業の乱発になっているんじゃないかと思っています」

<難波喬司候補(66)>

「公的資金を使っていくハコモノと、それから誘致。ほかの人がお金を出してやる、民間資金でやるもの。このハコを2つ完全に区別していかないと議論が始まらないと思っています」

アリーナ構想について、山田さんは「民間資金で造ることは賛成。ただ、行政が全て賄うことになれば難しい」。難波さんも「民間資金であれば賛成。その整理ができなければ議論できない」としています。一方、鈴木さんは「不要不急の事業」として中止を訴えています。

海洋文化施設については、山田さんと難波さんが近い意見を持っていて、鈴木さんは、中止を含めた見直しを訴えています。

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