近年まれにみる豊漁「操業規制の成果」 “駿河湾サクラエビ” 価格下がり店も客もニンマリ

静岡が誇る特産品サクラエビ。解禁日から2日遅れで春漁が行われ、2023年の初漁は“近年まれにみる豊漁”となりました。初日の漁獲量は2022年に比べると、なんと44倍です。

「駿河湾の宝石」と呼ばれるサクラエビの春漁が始まり、4月5日、由比漁港(静岡市清水区)で初セリが行われました。

サクラエビ漁は毎年、春と秋に行われますが、2023年の春漁は解禁日から2日遅れで初漁を迎え、約40トンが水揚げされました。2022年に比べると約44倍の漁獲量で、不漁続きの近年ではまれにみる豊漁となりました。

<由比港漁業協同組合 宮原淳一組合長>

「(画像を)見た時は『え、本当?』と。うれしさで手をたたいた」

2010年代は年間1000トン前後で推移してきた駿河湾のサクラエビ漁。2018年に約300トンまで激減。原因がよく分からない中で漁師たちは自主規制を敷き、最近では資源の回復傾向が見られるとして2022年秋から操業条件を緩和しました。

<由比港漁協 大石達也専務理事>

「初日なのでまだ何とも言えないが、少し不漁から抜けたという印象がある」

漁獲量が増えた理由について漁協は「ここ数年の操業規制の成果が出始めたのではないか」と話しました。

5日の由比市場では15キロあたりの最高値で4万2320円、平均価格は3万2750円。不漁だった2022年よりも約5万円ほど安い取引となりました。

この日を待ちわびていた人もいます。清水区蒲原で創業68年、地魚料理の老舗「よし川」は獲れたてのサクラエビを求める客でにぎわいました。

<客>

「『大漁だ』という情報を得たので行かなきゃと思って来た」

「サクラエビをどうしても食べたくて。おいしかった」

不漁が続けば必然的に値段は上がり、近年は“高級品”になっていたサクラエビ。豊漁による価格の安定はお店にとってもうれしい知らせです。

<よし川 吉川千鶴子さん>

「世間は物価高ですけど、サクラエビが(初日の)仕入れ値なら値上げしなくても何とか従来通りに提供できると思い、ホッとしている」

サクラエビの春漁は資源保護のための自主的な操業規制を敷きながら、6月9日まで実施されます。

© 静岡放送株式会社