<南風>広がる沖縄家系ラーメン

 先日、3月30日は「すするの日」と掛けて【#沖縄家系の日】という1日限定のイベントが開催された。このイベントは、沖縄に家系ラーメンを広めたいと2002年に沖縄武蔵家を創業した店主の思いを引き継いだラーメン店の有志メンバーが発起、企画したものだ。各店舗が沖縄家系ラーメンを1日限定で販売した。

 そもそも家系ラーメンとは、豚骨しょうゆベースのスープに太麺と、ほうれん草、チャーシュー、ノリのトッピングで構成されるラーメンのことだ。そのルールを守りながらも、各店舗でオリジナリティーあふれるラーメンを考案。お店のラーメンとは、スープのベースも全く異なる場合もあり、店側は大変な作業だったと思われる。

 イベント当日、参加店舗には営業開始時間から行列ができ、数時間で完売した店もあった。沖縄県民に家系ラーメンの味を伝える1日となり、SNSではトレンド入りしたほどだ。

 私が沖縄に移住した04年ごろは全国的にラーメンブームが広がる中、県内はラーメン店が少なかった。しかし現在、県内には約360店舗ものラーメン専門店があるとのことで、県民のソウルフードである沖縄そば専門店の数を上回ったという調査結果もある。

 県内で、ここまでラーメン店が増えた背景には、ラーメンカルチャーを沖縄で広めたいという思いがつながり、互いに刺激を受けながら盛り上がりを作った結果だと思う。そこにインバウンド需要も影響し、全国的に有名なラーメン店が続々と県内に出店した。今やラーメンは、ジャパニーズヌードルとして世界の人々を魅了し、日本を代表する名物料理になっている。

 訪日観光客の入国制限が緩和され、沖縄発祥の沖縄家系ラーメンを求め、世界各国から来た観光客の行列が絶えない日が来るのも近いだろう。

(下地友香、ちゅらグルメ編集長)

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