新型コロナウイルス禍を乗り越え、スタジアムに熱気を取り戻す動きが加速している。入場制限が撤廃され、声出し応援も全面解禁となった今季、サッカーJ1の横浜F・マリノスは選手紹介映像を刷新した。「横浜らしさ」を織り交ぜた内容で、気軽に楽しむライトなファンへの訴求力を高めるのが狙いだ。背景にあるのはコロナ禍を契機とした「離脱層」の増加。観客動員は約1万人規模で戻っていないのが現状で、クラブは「コロナで失われたことを当たり前にしてはいけない」と知恵を絞っている。
日本代表FW西村拓真のゴールパフォーマンスやDF畠中槙之輔、松原健らのきりりとした“決め顔”…。先月18日、本拠地日産スタジアム(横浜市港北区)で行われた鹿島アントラーズ戦。開始直前に電光掲示板に流れた約1分間の映像がスタンドのボルテージを高めた。
追い求めたのは「かっこよさ」ばかりではない。変化の象徴はその合間にちりばめられた、赤れんが倉庫やランドマークタワーといった港町の情景だ。
「大都市で印象的な観光地があるのが横浜。初めてきた方も親しみやすい、『横浜』F・マリノスを示したかった」。制作に携わった同クラブ広報室の矢野隼平さん(33)は説明する。