大物現職、崩れた地盤 議長経験者落選 県議選

落選し頭を下げる三森文徳氏=9日午後9時45分、那須烏山市中央2丁目

 県議会議長を経験した重鎮の落選が相次いだ。

 保守分裂となった那須烏山・那珂川選挙区。有権者は自民党現職三森文徳(みもりふみのり)氏(66)の6期の経験よりも、「県政に新しい風を吹かせる」と訴えた無所属新人沼田邦彦(ぬまたくにひこ)氏(51)を選んだ。三森氏の選挙結果報告会場に落選の一報が入ると、集まった支持者らは声を失った。

 12年ぶりの選挙戦。若さを全面に出す沼田氏に対し、三森氏は茂木敏充(もてぎとしみつ)自民党幹事長をはじめとする多くの同党国会議員や川俣純子(かわまたじゅんこ)那須烏山市長らの応援を受け、青年部が選挙活動全般を支えた。

 三森氏は午後9時40分ごろ、沈痛な面持ちで会場に現れた。支持者を前に声を詰まらせながら「ひとえに私の力不足。特に青年部の皆さんには胸が痛い」と話した。あいさつ後は一人一人に「結果を残せず申し訳ない」と頭を下げた。

 定数3を4人が激しく争った鹿沼市選挙区は、6期目を目指した自民党現職で党県連政調会長の小林幹夫(こばやしみきお)氏(69)がよもやの落選。その一報が伝わると、選挙事務所は重苦しい雰囲気に包まれた。

 県議会議長も務めるなど5期20年の経験や実績、政策遂行力に自信を持って臨んだ選挙戦だった。告示後の日曜日には茂木同党幹事長や五十嵐(いがらし)清(きよし)衆院議員が相次いで応援に入り、国とのパイプの太さをアピール。また4人の候補者で唯一、佐藤信(さとうしん)市長と明確に距離を置き「鹿沼を変えないといけない」と訴えた。

 一方で県連幹部としての多忙さから、地元での露出や活動の減少を懸念する声があった。小林氏は「(市議選含めて)10回目の選挙で(落選は)初めての体験なので動揺している。まさに自分の不徳の致すところ」と敗戦の弁を述べ、深々と頭を下げた。今後について自らの進退は語らず「9月の市議選に向け努力する」と述べるにとどめた。

敗戦の弁を述べる小林幹夫氏=9日午後9時30分、鹿沼市鳥居跡町

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