サンショウを地場産品に、京都・宇治 農家激減も「しびれブーム」で需要増

ブドウサンショウの苗木を植える参加者たち(京都府宇治市志津川)

 京都府宇治市の山あいにある炭山と志津川の両地区で、サンショウの産地化に向けたプロジェクトが始まった。地元農家や香辛料メーカーの関係者が、地域活性化への期待を込めて苗木を植えた。

 京都市伏見区に本社を構える「甘利香辛食品」によると、サンショウの主要産地である和歌山県では近年、生産者の高齢化などで収穫量が激減している。10年前の3分の1ほどとなり、その分価格が高騰しているという。

 一方、サンショウは辛味を好む「しびれブーム」を受けて人気が高く、京料理との相性も良い。地元での栽培を目指す同社の構想に応えようと、ビジネスマッチングを行う京都信用金庫が、宇治の山間地で地域振興に励む住民と引き合わせた。

 プロジェクトの中心メンバーが和歌山県の生産現場を見学するなどし、宇治での定植の日を迎えた。地元農家や同社の担当者、同信金職員のほか、近くの福祉施設の関係者も参加した。「ブドウサンショウ」と呼ばれる品種の苗木を約40本、支柱にくくりつけて畑に植えた。

 農家の掛川宏さん(63)は「収穫物が非常に軽く、高齢者でもできそう。(ほかの場所でも)山あいの余った土地で栽培する人が増えたらうれしい」と話した。

 サンショウが収穫できる数年後に向け、メンバーらは「農福連携や観光産業にも発展させたい」と張り切っている。

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