日本システムバンク名証上場の狙いは コインパーキング全国7400カ所で展開、社長が描く成長戦略

名証メイン市場への上場が決まり、今後の成長戦略について話す日本システムバンクの野坂信嘉社長=福井県福井市中央3丁目の同社

 名古屋証券取引所「メイン市場」に4月14日上場するコインパーキング運営の日本システムバンク(本社福井県福井市中央3丁目)の野坂信嘉社長(58)がインタビューに応じた。全国約7400カ所で展開しているコインパーキングの管理運営の成長戦略について、都市部では精算機などの機器販売、地方や郊外は直営を拡大していく考えを示した。

―上場が決まった現在の受け止めは。

 「ようやくスタート台に立てるという気分。上場企業としての社会的責任を自覚し、交通インフラの一翼を担う企業として、快適に駐車場を利用していただくために何をすべきかをしっかりと考え、世の中に貢献したい」

 「名証メインを選択したのは、地元により近いところで応援いただける個人投資家を増やしたい思いがあった。名証は東証の市場再編後、中小企業がIPO(新規株式公開)を目指すファーストステップとして注目を集めている」

―同業他社と比べて強みは。

 「当社は『運営から機器の供給、メンテナンスまで手がける駐車場管理の総合商社』。全国展開する同業社の中で、これらをワンストップで提供できるのは当社だけだ。直営でも約1200カ所を手がけており、全国各地域の駐車場利用データを持ち、精算機などの機器販売で(駐車場運営を希望する)不動産会社などに対して需要予測を提供できる。創業から約27年間積み上げてきた保守管理のノウハウを基に、稼働率向上やトラブル防止を提案できるのも強み」

―2022年6月期の連結売上高は67億円超だったが、現況は。

 「新型コロナウイルス禍でコインパーキング市場は20、21年と大打撃を受け、当社も経常損失を計上した。ただ昨年末ごろから人の動きが活発になって駐車場の稼働率が上がり始め、今はコロナ前を超えるほどだ。さらに旅行需要の回復が期待でき、最高のタイミングで上場できる」

―今後の成長戦略は。

 「都市部を中心に今後も慢性的な駐車場不足が続くと予想される。中長期戦略としては、都市部は機器販売に力を入れ、地方や郊外の住宅地などでは直営を拡大していく考えだ。郊外の駐車場利用はコロナ禍での落ち込みが少なかった。今後万が一訪れる大きな社会環境の変化にも強い企業体質にしたい」

―車の自動運転や電気自動車(EV)、カーシェアリングの普及にどう対応していくか。

 「自動運転車両の動きをイメージした駐車場のレイアウトや設計づくりを進めていく。車両と駐車場機器がデータを送受信するシステム開発も必要になってくるので、創業時からあるシステム開発の部署で対応していきたい」

 「EV向け充電スタンドは既に約100カ所に設置しており、今後も需要は拡大すると思う。充電器の事業者と駐車場運営事業者をマッチングし、EVのインフラ整備に貢献したい。カーシェアリング市場も順調な伸びが期待され、同様に事業者間のマッチングに力を入れる」

© 株式会社福井新聞社