保育士不足「配置基準の見直しを」 1・2歳児6人に対し1人 悲鳴上がる現場では…

1人の保育士が担当する子どもの数を定めた国の「配置基準」。現状の基準では、子どもたちを伸び伸び育てることが難しいという声がある中、この「配置基準」を巡って見直しを求める動きが県内でも進んでいます。

元気いっぱいの1歳児たち。静岡市の「こぐま保育園」では12人の1歳児を3人の職員で担当しています。

<こぐま保育園 保育士 青木浩子さん>

「部屋に(外で遊んだ)子どもが入ってきたときの着替えのセットをしています。いま私がこの支度をしている間は12人を2人で見るかたちになる。もうちょっと人が足りていればより手厚く見てあげられると思う」

国が定めた保育士の配置基準では園児6人に対して保育士1人の「6対1」です。この保育園では安全で充実した保育を行うため「4対1」としていますが、そうならない時間もあります。

よりよい保育のために、働く仲間を増やしたい。ハードルとなっているのが国の仕組みです。

<こぐま保育園 佐藤裕子園長>

「市から委託されて園を運営している。おりてくるお金でしか運営ができない。採用というか、雇いたくても雇えない」

認可保育園の人件費は保育士の配置基準に沿って国や自治体から給付されます。一方で、基準以上に保育士を配置した場合、1人当たりの賃金に影響が出るケースもあるといいます。

<こぐま保育園 佐藤裕子園長>

「国の基準が6対1(※1〜2歳児)で基準自体が変わらないことが問題だと思う。変わることを願っているのが現状です」

「配置基準」見直しは喫緊の課題です。労働組合側は4月11日、基準変更を国に求めるよう県に要請しました。

<保育士の黒田貴子さん>

「3歳児20人を保育士2人で保育しています。個別の支援が必要な子が多く、一人ひとり手立てが違うので一緒に見ることは難しさがあります」

静岡英和学院大学で授業に臨む学生たち。保育の現場を志す保育士のたまごです。

<静岡英和学院大学 山田美代子教授>

「マスクも緩和されていくので、表情豊かに楽しく保育を実践してほしいと思います」

「保育士不足」の現状を学生も重く受け止めていました。

<静岡英和学院大学3年生 塩川莉緒さん>

「保育士が不足するなかで待機児童も年々増えているので、保育の世界に入って少しでも力になりたい」

<静岡英和学院大学3年生 原野由奈さん>

「子どもたちが保育者と関わる時間が少なくなって信頼関係を築くのが難しくなったり、保育者の方々が負担になって大変だと思うので、私も力になれるようがんばっていきたい」

保育士不足が続く中、質のいい保育、子どもたちの安全をどう守るのか、保育行政は転換を求められています。

保育士の配置基準は0歳児は子ども3人に保育士1人、1~2歳児は6人に1人、3歳児は20人に1人などとなっています。4~5歳児は30人に1人で、この配置基準については70年以上変わらないままで、保育現場の実態に合っていないと指摘されています。

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