「保存食というよりジューシーなおかず」干物で創作料理 150年続く老舗に新しい風【しずおか産】

2023年1月、静岡県熱海市に「干物のレストラン」がオープンしました。今回の「しずおか産」は発想の転換で生まれた干物の創作料理です。

まずは、「ひものデリプレート」です。

<神谷修二記者>

「サバの干物のハーブグリルをいただきます。干物とハーブは意外な組み合わせですけどすごくマッチしてておいしいです」

サバの干物をハーブオイルと白ワインに漬け込んだ後、グリルしました。

<釜鶴 二見一輝瑠社長>

Q.ハーブと干物は合いますか?

「合いますね。魚から脂はあるんですけど、香りをつけるという意味からするとハーブはすごく合います」

老舗ひもの店「釜鶴」の5代目・二見一輝瑠さんは焼いて食べることが多い干物をさまざまな調理法で洋風に仕上げています。「ひものデリプレート」はサバの干物のほかに、「豆アジの干物」を低温のオリーブオイルで揚げた「コンフィ」と、ホッケの干物のコロッケを添えました。

<二見社長>

「今まで通りのモノを今まで通りにというのは大事にしているが、そこからもう一歩二歩という形でイメージ転換をしていく必要性が生活様式も変わった中では必要だと…」

二見さんは150年続く干物店に新しい風を吹き込もうとしています。元々、お土産用の干物を売っていた店をレストランにリノベーション。店内に料理などができるワークスペースもつくりました。

<加工場を案内する二見社長>

「釜鶴の加工場になります。地元のイセエビ、キンメダイ…水揚げによって毎日魚を変えながら開いています。こちらは『熱海のダイダイサクラマス』ですね」

Q.これも干物になるんですか?

「こちらはスモークサーモンにしたり、干物としても加工します」

加工場は「干物文化」を受け継ぐ場所です。職人たちはこれまでの技術を守りながら、次への高みを目指し、腕を磨いています。

新しい干物の食べ方を提案する二見さんは、ダイダイサクラマスの干物をフリッターにしました。

<二見社長>

Q.フリッターにすることで味付けを変えているんですか?

「味付けは変えていないですね。干物そのままを使っていて、昔よりも塩分も軽くなっているし、水分も多く残るように干物は仕上がるようになってきているので、保存食というよりも食卓に上るジューシーなおかずというような格好に干物は変わっている。調理法を加えることによって全く干物が違うように生まれ変わるということです」

干物を食材として使えばメニューの幅が広がります。

<客>

「目新しさだけじゃなくて、おいしさもちゃんと一緒に両立してる感じがすごいなと思います」

二見さんは干物のアレンジ料理を出すことで「熱海の干物」の価値も高めようと考えています。

<二見社長>

「干物自体は単純に焼いてごはん、みそ汁というのがベストでおいしいんですけど、コロナが明けつつある中で観光客の方も変わってきていて、若い方を中心に熱海にいらっしゃる方が増えてくる…その中で熱海の食文化である干物の可能性を開いて、その中で知っていただくことが重要だと思ってます」

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