「電気屋は目立ってなんぼ」リフォームから飲食店プロデュースまで、職人奔走

古里の伊根をアイデアで盛り上げている澤田さん(伊根町日出)

 特撮の戦隊シリーズを模したステッカーを貼った電気自動車で、丹後地域の現場を走り回る。「電気屋は目立ってなんぼ。誰もしていないことに挑戦したい」。澤田秀太さん(32)=京都府伊根町=は、作業着を身にまとい、いたずらっぽく笑う。

 同町日出の電気工事会社「沢田電気」の職人として、漏水調査やリフォームなどに汗をかく傍ら、伊根ならではのお土産作りや飲食店のプロデュースなど手掛ける仕事は幅広い。

 保育園に通っていた頃から現場の仕事を見学するなど、父が経営する同社の後継ぎとして育てられた。だが、中学生時代の夢は「沢田電気の隣にラーメン屋を建てること」。「生まれた時から決まっていた将来に反発したかったのかも」と振り返る。専門学校を卒業した後、大阪の同業者の元で修行し、25歳で父の会社に入社した。

 転機になったのは4年前。町内にあるなじみの商店の改修を任された際、新しい土産物を作って店の売り上げに貢献しようと、町の特産である煮干しをイメージしたTシャツを製作。以来、森永製菓の人気菓子「ハイチュウ」を模した「イネチョウ」など、町を面白くPRする商品を企画するようになった。

 2年前には会社近くにすし店と町唯一のスナックを開店。毎夜、観光客と地元住民が集う。「町がもっと明るく、楽しい場所になれば」が活動の原点だ。

 本業では、SNS(交流サイト)で作業の様子を積極的に動画で投稿。人手不足が深刻な業界で、若手の求人につなげる。「電気や水道は大変な現場だと敬遠されている中、澤田さんの元で働きたいと言われるような、面白い人になりたい」と意気込む。

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