本格コンベンションの“前哨戦” 「高い評価」に自信 全国経済同友会セミナー長崎大会閉幕

 14日に閉幕した「全国経済同友会セミナー長崎大会」は、新型コロナウイルスの5類移行や先進7カ国(G7)保健相会合を目前に控える中で、本格的なコンベンション受け入れの“前哨戦”となった。事務局を担った長崎経済同友会は、ハードとソフト両面で本県の機能や魅力をアピールするため準備に奔走。森拓二郎代表幹事は終了後の会見で「施設、おもてなし共に高い評価をいただけた」と自信をのぞかせた。
 セミナーは全国44の経済同友会が毎年共同で開く。新型コロナウイルス禍の影響で対面形式での本格開催は4年ぶりとなった。長崎経済同友会が開催地に手を挙げたのは6年前。2021年の出島メッセ長崎、22年の西九州新幹線の開業を見据え「長崎の発展を見ていただきたい」(森代表幹事)と誘致した。福岡県以外の九州で開かれたのは初めて。
 参加者からは駅から直結する施設のアクセス性を評価する声が多く聞かれた。関西経済同友会の参加者は「これまでは福岡が中心だったので、長崎で開催できた意義は大きい。新幹線やスタジアムシティなどいくつもの『売り』をアピールするベストなタイミングだった」と感心した。
 13日夜の懇親会はイベントホール(3800平方メートル)を借り切り、郷土料理や地酒を提供。地元高校生の龍踊やマグロ解体ショーのアトラクションでもてなした。14日は弁当約800食分を市内の三つのホテルに発注した。
 宿泊先は駅に近いホテル約10軒を紹介したが、高価格帯から早く埋まり、エリアを増やして対応した。県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事は「市内のホテルで千~2千人規模のコンベンションには対応できる」としながらも「清掃の人手が足りず、稼働する部屋数を抑えているという声は聞く。コロナ禍で雇用を制限していた中、需要が一気に増え、人手不足が課題だ」と指摘する。
 セミナー後に県内観光地などを巡るエクスカーション(体験型見学ツアー)では、五島で1泊2日を過ごすコースが特に人気を集めた。長崎経済同友会の狩野靖事務局長は「朝ドラ効果も大きい。多様な魅力を知ってもらい、今後の誘客につながれば」と期待する。
 出島メッセでは今後5月までに千人規模以上の学会を2件予定。長崎市の担当者は「コロナ禍の影響が緩和され、現地参加型の会議が増えていく。関係機関と連携しながら、参加者の滞在時間延長やまちなかへの誘導などを強化していきたい」としている。

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