リンス、ホンダ移籍後の初優勝。ホンダライダーが1年半ぶりに表彰台の頂点に/第3戦アメリカズGP

 MotoGP第3戦アメリカズGPの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われ、MotoGPクラスはアレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)が優勝を果たした。リンスにとってはホンダ移籍後初、そしてホンダにとっては約1年半ぶりの勝利となった。

 決勝レースは気温22度、路面温度43度のドライコンディションで行われた。スタートからトップに立ったのはポールポジションからスタートしたフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)で、2番手がアレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)、そして3番手に10番手スタートのジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリーレーシング)が浮上し、4番手にファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が続く。

 1周目には転倒が相次ぎ、スプリントレースで3位だったホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)が3コーナーでスリップダウンを喫し、転倒したマルティンと接触してアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)もクラッシュ。12コーナーではアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)が転倒を喫した。

 序盤の5周を終えても、2番手のリンスはトップのバニャイアとの差を大きく拡大することなく抑えていた。リンスと3番手のミラーとの差は約1秒に開いていたが、表彰台圏内を走行していた。ミラーは7周目に転倒を喫し、リタイアとなった。ミラーの転倒により、クアルタラロが3番手に浮上。しかし、その背後にはルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシングチーム)が迫っていた。

 8周目、トップを走っていたバニャイアが、まさかの転倒。3コーナー進入で転倒を喫したバニャイアは、ここでリタイアとなった。この転倒によってトップも変わり、リンスがレースリーダーとなる。

 トップに立ったリンスは2番手のクアルタラロとの差を2秒以上にしていた。一方、クアルタラロは3番手のマリーニにぴたりとつかれ、マリーニに対する防戦を展開する。だが、クアルタラロは13周目のバックストレートでなすすべなくマリーニにオーバーテイクを許すことになった。マリーニは2番手に浮上し、クアルタラロは3番手に後退した。

 トップのリンスは中盤以降、先頭を快走してゴールした。リンスとしてはホンダに移籍して初の優勝であり、ホンダにとっては2021年エミリア・ロマーニャGP以来の優勝となった。ホンダの今季初優勝はインディペンデントチームのリンスによって果たされた。なお、マルク・マルケス以外のホンダライダーが優勝するのは、2018年アルゼンチンGPで優勝したカル・クラッチロー以来のことであり、また、LCRチームとしては100度目の表彰台でもあった。

 2位はマリーニで、決勝レースとしては最高峰クラス初の表彰台を獲得している。3位はクアルタラロ。開幕戦から不運や転倒が続いたが、今季初表彰台となった。

 4位はマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)、5位にはミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)が入り、アプリリアのふたりが続いている。

 このレースは転倒者も多く、1周目に転倒したマルティンやアレックス・マルケス、アレイシ・エスパルガロのほか、表彰台圏内を走行していたミラーとバニャイア、その後もジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)、ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリーレーシング)、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)、ステファン・ブラドル(レプソル・ホンダ・チーム)がクラッシュを喫した。このため、完走したのは13人という結果となっている。

アレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)

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