クロマグロの漁獲上限に迫る 岩手県、水揚げ自粛を要請

魚市場に水揚げされるマグロ。年間漁獲枠に迫り、漁業関係者を悩ませる=14日、大船渡市大船渡町

 本県沿岸でクロマグロのまとまった水揚げが相次ぎ、4月半ばにして単年度(4月~翌年3月)の漁獲上限に迫っている。54.9トンの枠に対し実績は40.4トンで、県は漁業者に水揚げ自粛を要請した。厳格な管理で資源が増えたことが要因とみられ、漁業者は枠拡大を求めるが、国際的な保護施策のため先行きは見通せず、定置網に入っても水揚げできない悩ましい状況が続きそうだ。

 大船渡市大船渡町の市魚市場に14日朝、黒光りするマグロ265匹(27トン)が水揚げされた。10日の73匹に続く「豊漁」となり、県全体で大型魚(30キロ以上)の2023年度漁獲可能量の73.6%に達した。

 だが、関係者は必ずしも喜べない。県は15日、県定置漁業協会の理事らを宮古市内に急きょ集め、現状と自粛要請を説明した。終了後、大井誠治会長は「秋サケやサンマが取れずマグロで補いたい中での自粛は痛手。保護に協力してきた分、還元もしてもらわなければ困る」と訴えた。

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