全身に皮膚痕、ブラキロフォサウルスのミイラ化石を公開 福井県立恐竜博物館で常設展示へ

初公開されたブラキロフォサウルスのミイラ化石。手前が頭部=4月17日、福井県福井市重立町の日本通運福井支店

 今夏リニューアルオープンする福井県立恐竜博物館(勝山市)の常設展示の目玉として、世界的にも珍しい全身の皮膚痕がほぼ残った草食恐竜ブラキロフォサウルスのミイラ化石が加わる。4月17日、福井市内で報道陣に公開された。皮膚の模様や筋肉の痕跡など、生きた当時の特徴が色濃く残っている。恐竜の全身ミイラ化石の常設展示は日本で唯一となる。

 ブラキロフォサウルスは約7700万年前に生息し、カモノハシ恐竜とも呼ばれるハドロサウルス類の一種で、幅広いくちばしが特徴。ミイラ化石は2000年に米モンタナ州で見つかり、最も保存状態が良い化石としてギネス世界記録にも登録された。通称「レオナルド」。所有する同州のグレートプレーンズ恐竜博物館から年4万ドルで10年間、借りる。

 県立恐竜博物館によると、化石は体が横向きに倒れた状態で縦2.3メートル、横3.3メートル、厚さ50センチ。生息時の全長は約7メートルと推定されている。何らかの原因でミイラ化した後に化石になったことで柔らかい組織の跡が残った。

 全身の8~9割に皮膚痕があり、後ろ足付近には約1センチの多角形の模様が連なっている。他の部分の皮膚のひだや、首付近の筋肉、おなかの中の植物の痕跡もある。顔はくちばしの裏が見えた状態。

 今後、博物館で研究を進め、部位による皮膚の模様の違いなどが分かれば「ブラキロフォサウルスの姿全体をこれまでより正確に復元できる」という。

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 グレートプレーンズ恐竜博物館の学芸員と県立恐竜博物館の研究員が親しかったことから借り受けが実現した。竹内利寿博物館長は「研究員の国際的ネットワークが生きた。来館者には皮膚などの細かい部分までぜひ見てほしい」と話している。

 4月21日に福井県産業会館(福井市)で開幕する企画展「THE恐竜in福井~恐竜博物館を飛び出した恐竜たち」(同館、福井新聞社、福井放送、福井テレビでつくる実行委員会主催)で、レプリカを展示する。

 県立恐竜博物館はリニューアルオープンに向け現在は休館中。

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