クルマにかかる税金、全部でいくつ?よゐこ有野「めちゃくちゃ払ってるやん!」

お笑い芸人・よゐこの有野晋哉さんが、毎月さまざまな専門家をゲストに迎えて、お金の知識を身に付けていく「お金の知りたいを解決!お金の学園〜学級委員・よゐこ有野晋哉〜」。2023年4月は会計士・税理士でYouTuberの山田真哉先生に「税金」について、弁護士でタレントの三輪記子さんと一緒に伺いました。

今回は、「自動車税」について伺いました。クルマをお持ちの方は、自分が何種類の税金を納めているか、わかりますか?


有野晋哉(以下、有野): この連載、Yahoo!ニュースにも配信されてるんやけど、前回のにたくさんコメントも書き込んでもらって、みんな同じ相続問題で悩んでたみたいやね。もっと、深く話してみたいな、って思いました。

三輪記子(以下、三輪):日本は高齢化も進んでいるし、相続は誰にとっても他人事じゃないですよね……相続についての授業もやってもらいましょう!

有野: それで、話は変わるけど、桜は散ったねー、それで新緑の季節やね。バイクも気持ち良いし、ドライブも窓開けて走るのが気持ちの良い時期になりました。

三輪:唐突ですね(笑) あれ、有野さんってドライブに行かれるんですか? インドア派の印象が強いですけど。

有野:コロナもあって、行ってへんかったけどな。移動は大体マイカーで行くで。1時間くらいかかるのでロケバスありますよって言うてもマイカーで行くくらいクルマは好きよ。最初に買ったのが、イタリアのランチアって会社が作ってた「ランチアデルタ インテグラーレ エボリューションⅡ ジアラ」って限定車で、めっちゃかっこよかった。売った2年後に高騰して、今も新車の倍くらいの値がついてる。

三輪:へぇ~、聞いたことないな。なかなかマニアックですね。

有野:クルマの番組で、おぎやはぎの矢作君が「俺が乗りたかったから、有野君にデルタを買わせた」って話を言われてんけど、俺はそのことを全く覚えてへんかった(笑)

三輪:え~っ、クルマなんて高いものの話は、覚えていそうなもんですけどね。……って、もしかして有野さん、今回は自動車税の授業だって言われたから、前振りでクルマの話をしてます?

有野:正解!(笑) 先生、お願いします。

さまざまな種類がある自動車関連の税金

山田真哉(以下、山田):有野さんが前振りしてくれたので、さっそく授業を始めましょう。いまお話されていたように、今回は皆さんにとっても身近な「自動車税」についてお話します。有野さんはクルマがお好きということなので、自動車税はお払いになっていますよね?

有野:もちろん、払っていますよ!

山田:払っている税金は「自動車税」だけですか?

有野:えっ、ほかに……うーん、なに払ってるんやろ? 重量税や。あと、買った時の消費税! あと、ええ車乗ってんなって写真週刊誌に撮られても我慢する有名税かな。僕は車種も年式も違う、ってラジオで言うから有名税は拒否してるけど。

山田:自動車には、排気量によって課税される「自動車税」、車の重さによって課税される「自動車重量税」のほか、2019年から「環境性能割」と呼ばれる、環境性能ごとに課税される税金が加わりました。これとは別に、購入時には消費税、走るためにガソリン税もかかります。

有野:うわぁ……めちゃくちゃ払ってるやん! しかも、2019年に新しい税金ができたんですか?

山田:「環境性能割」は、それまで徴収されていた「自動車取得税」の代わりに、新たに設けられた税金です。燃費の基準によって、非課税から3%まで税率が変わります。

三輪:環境性能「割」ってことは、何らかの割引がされているということですか?

山田:この「割」は、割引ではなく「分割」ですね。「クルマを持っている人全員で、分割して支払う税金」という意味になります。ちなみに、クルマを保有することでかかる「自動車税」も、現在では「自動車税種別割」というように名称が変更されています。

有野:割ってついてるのに減税じゃないんですね。自分が知らなかっただけですけど、いつの間にか名前が変わっていたんですね。芸人も、知らんうちによく名前が変わってたりするけど(笑) さまぁ〜ずさんが元々バカルディやったり、海砂利水魚が今のくりぃむしちゅーやったり、松竹芸能のなすなかにしも、一時期変な名前やったで。いまぶーむって全部ひらがなの。1年ほどで戻したから、失敗やったんやろうな。

三輪:有野さんは名前を変えたことないんですか?

有野:そもそも、最初は「よゐこ」って名前じゃなかったんよ。もともとは「なめくぢ」で、「ぢ」は「ち」に濁点のほう。

三輪:そうだったんですか、なんで「よゐこ」に変えたんですか?

有野:「なめくぢ」は俺のアイディアなんやけど、その名前を出した時に濱口が思わず笑ってもうて、「じゃあ、それで行こうか」ってなって、ネタ番組もちょっと出てだしてて、レギュラーが決まる頃、事務所の偉い人に「ナメクジなんか売り込みに行けるかい!」って社内で揉めたみたいで(笑)若手担当マネージャーに「変えてくれへんか」って言われて。嫌だ嫌だって逃げててんけど。 当時事務所に所属してた先輩芸人が、近くにあった幼児雑誌の名前を取って「よいこってどうや」て偉い人に言うたらそれが決定になって。

山田:確かにそんな雑誌、ありましたね!

有野:先生も食いついてくれた(笑) 会社から「これで行くから」って言われて、それに抵抗して俺がサインの時は、旧仮名遣いの「よゐこ」にしててん。で、東京のネタ番組に出る打ち合わせで「コンビ名を手書きのテロップで出すから書いて」ってスタッフに言われて「よゐこ」って書いたら、「これプロフィールと違うけど」ってディレクターが気づいて、マネージャーは関西では「よいこ」で仕事してたから戻そうとしたら、「でも、こっちの方が彼らっぽいからこっちにして良いですか?」て言うてくれて、会社も「ではそっちで」って即決。「変えれるんかい!」って思うけど。そのディレクターが後のめちゃイケの総監督の片岡飛鳥さん。すげー話でしょ。

三輪:へぇ~、そういう経緯だったんですね! 勉強になりました。

有野:税金は全く関係ない話やったけどね(笑)

頻繁にアップデートされる「エコカー減税」

山田:さて、話を戻しましょう。自動車にかかる税金は、購入時には「環境性能割」と「自動車重量税」、「消費税」の3つ。継続所有、つまり車検の時にかかる税金が「自動車税種別割」と「自動車重量税」の2つ。これに、「ガソリン税」を入れると、全部で6つになります。もちろん、ガソリンを入れる時にも消費税はかかります。

三輪:税金については、よく「二重課税」が問題として提起されるケースがありますけど、いくらなんでもかかりすぎですよね。延滞してしまうと、利息も高いイメージがありますし。

山田:延滞した時にかかる利息は、納付期限から1ヵ月までは年率換算で2.4%、1ヵ月以上だと8.7%ですね。いずれにしても、これらの税金はクルマを購入、あるいは所有するために支払わないといけない税金なので、早めに支払うのに越したことはありません。

有野:そうなると、「シェアリングカーのが良いや」ってなって、ますます買わなくなると思うなぁ。自動車は、なんでこんなに税金の種類が多いんですか?

山田:自動車税は、日本の高度成長期に道路や橋などのインフラを整備するための財源として設けられました。税金というのは、新しく設けられることはあっても、なくなることはほぼありません。そのため、インフラ整備が終わった後も、そのまま残っている形ですね。

三輪:しかも、いま自動車税は、インフラ整備のためというように目的が決まった「特定財源」ではなく、なんにでも使える「一般財源」なんですよね。

山田:おっしゃる通りです。そんなこともあって、自動車業界からは自動車関連の多くの税金について、以前から改正を求める声が強かったです。そこで昨今では、自動車の排ガスに対する環境への負荷が問題視されていることもあって、環境性能が高いクルマに関しては、税金を引き下げる方向に進んでいます

有野:あ、それが「エコカー減税」ってやつですね。エコカーって静かで環境にいいのもわかるけどなぁ。旧車好きの人にとっては、エンジン音て大事やねんなー。ガソリン代もたくさん払ってるし、維持費もかかるのに、世知辛いよなぁ……。

山田:自動車重量税に対しては「エコカー減税」で、自動車税(種別割)には「グリーン化特例」という、要は燃費のいいクルマへの減税制度が設けられています。実は、エコカー減税は2009年に始まった減税制度なのですが、その後も延長に次ぐ延長が行われ、昨年、2022年12月には2026年まで延長されることが決まりました。「グリーン化特例」も同じく2026年まで適用されることになっています。

有野:「減税」とか「特例」とか、めちゃくちゃエコカーを買わせようとしてますよね。でも、エコカーは普通のガソリン車と比べて割高なイメージがあるなぁ。

三輪:法律の世界でも毎年のように細かい改正はありますが、自動車関連の税金に関しても、キャッチアップするのが大変そうですね。

有野:法律の世界でもって、弁護士さんみたいやなぁ……あ、そういえば三輪さんは弁護士さんやったわ。いつも忘れてまう(笑)

三輪:いい加減、覚えてくださいよ(笑)

山田:エコカー減税は2024年から適用基準が段階的に厳格化されるのですが、自動車に関連する税金の制度は毎年のように変わるので、税理士も日々アップデートしないと追い付かないのが現状ですね。正直なところ、「エコカー減税とグリーン化特例について、全て把握している税理士ゼロ人説」すらあります(笑)

有野:そんな説あるんや! ひゃ〜、そんなややこしいんや!

三輪:それじゃあ、売る側のカーディーラーさんも制度を把握するの大変でしょうね……。

有野:買う方も、知らんと損しそうで嫌やけど、自分で調べるのもどう調べたらいいのか分からんしな。「若者のクルマ離れ」って言われる原因の一つがこういう事なんかもな。

自動車購入時には「新規登録からの経過年数」に注意

山田:自動車税に関して、もう1つ注意を払っていただきたいのが、購入時からの年数なんです。

三輪:年数で何か変わるんですか?

有野:SDGsとか、環境問題が注目されているから、長く乗って大切にしてね、ってことですよね、先生。

山田:実は、自動車重量税には「13年重課税」という制度があり、新規登録から13年が過ぎると、税額が増えるんです。普通自動車は約15%、軽自動車は約20%の増税になります。

有野:しまった、逆やった! また、旧車好きから持っていくんや。

山田:この「13年重課税」ですが、表向きは「古いクルマは燃費性能が悪いから乗り換えましょう」ということなのですが、なぜこの制度ができたと思いますか?

有野:燃費は車体じゃなくて、乗り方によるねんけどなー。平地の人と山の人でも違うし。でもわかった、自動車業界からの圧力でしょ!

山田:だいたい正解です! 中古車ではなく、新車購入を促す目的があるのは明らかでしょう。というのは、たとえば新車登録から5年が経過している中古車の場合、あと8年で税金が上がることになりますからね。

有野:今度はボケたのに当ててもうた……。映画で親が子どもに買ってあげるのって、「安くて古い中古車で練習してからだ」って見たりするけど、「お父さん、その方が税金が高くなるんだぜ」って会話聞きたくないなー。あと、古くてもこの形が欲しいって人とか、こだわりのある人っているからね。って考えたら先生、それって、新しいクルマが好きな人以外はクルマを買わなくなるんちゃいます?

三輪:確かに、カーシェアリングでいいってなりそう。

山田:カーシェアリングは、自分で税金を支払う必要はありませんが、税金や保険が料金に含まれていますね。

三輪:そうか、最初から料金に含まれているという観点からすると、お得ってわけでもないといえますね。

有野:会員の人は、含まれてるって考えへんもんな。1台のクルマ買うより月会費って安いもん。なるほどねぇ、そうじゃないとクルマ持ってる人が一方的に損してるって話やもんな。でも、先輩にはクルマ乗ってて欲しい、って後輩は思って欲しいな。自分もいつかはマイカーを、って。先輩みたいなシェアリングカーを、って夢がない。最近じゃクルマの話が出来る後輩って居らへんもんなー。

今後数年で大幅な制度改正も!?

山田:ここで、皆さんに残念なお知らせがあります。

有野:え、先生まだ残念なお知らせあるんですか。まさか……レースゲームもシェアリングカーの会員登録してる人でないとプレイ出来なくなるようになるんですか? エコカーで燃費気にしてたら、世界目指せませんよ!

三輪:ここぞとばかりにゲームに持って行きましたね(笑)

山田:実は、今回させていただいた話は2〜3年後に全く別の内容になっている可能性があるんです。

有野:えぇ~っ! こんなに勉強したのが3年で使われへんのか。今回はなんか損した(笑)

三輪:そっか、環境問題など、世界の潮流が大きく変わっていますし、社会への影響も大きいので、場合によっては税制が大きく変わるかもしれない、ということですよね?

山田:そうなんです。現在はEV(電気自動車)が日本でも普及しはじめていますが、EVは排気ガスが出ないので、排気量に税金をかけるのはおかしいですよね。そのため、現在はEVを含めた新しい法律の整備が進められています。

三輪:EVだとガソリン税もかからないですもんね。

山田:なので、「走行距離」に対して税金をかけるという話も出ています。

有野:えぇ~、年間で何キロ走ったのか申告しなきゃいけなくなる、ってことですか?

山田:最近のクルマは通信機能が付いていますから、走行距離などのデータを自動で収集できるんですよ。実は今年、2023年4月から新制度が始まる予定だったのですが、新型コロナによって自動車部品や半導体などの供給網が崩れてしまって、クルマを買っても納車が遅れている事情があり、施行の時期が後ずれしました。おそらく、近いうちに発表があるはずです。いずれにしても、「自動車に関する税制が大きく変わりそう」ということだけは、頭に入れておいてください。

有野:なんでもかんでも国に把握されるの、怖いなぁ。そのうち、芸人がボケた数と使われたコメントとかも把握されるかもしれへんな。役人に「君、去年は番組で平均して、10回ボケたけど、使えるコメントは2回しかなく、収録の時間も伸びてスタッフや演者がタクシーで帰る事になり、経費がかかり、みんなに迷惑がかかったので、今年の納税額はこれだけね」なんて徴収されたりしたら、怖くてボケられへん。

三輪:さすがにそれはないので、心置きなくボケ続けてください(笑)

次回(4月25日配信予定)は「住民税」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

山田真哉
公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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