大川小の津波裁判記録映画 「生きる」県内初上映 小山で21日から

大川小の津波裁判を追った記録映画「生きる」のチラシ©2022 PAO NETWORK INC.

 東日本大震災による津波で多くの児童が犠牲となった宮城県石巻市大川小の遺族らを追った記録映画「生きる 大川小学校 津波裁判を闘った人たち」が21日から、栃木県小山市の小山シネマロブレで県内初上映される。21、22の両日、寺田和弘(てらだかずひろ)監督らによる舞台あいさつがある。寺田監督は「遺族がなぜ裁判を起こさざるを得なかったのか、その思いや事実を知ってもらいたい」と来場を呼びかけている。

 児童・教職員84人が犠牲となった大川小では、一部児童の遺族が学校側の対応に過失があったなどとして市と県を提訴。2019年に市側に賠償を命じた仙台高裁判決が確定した。

 映画は、保護者説明会や市の第三者検証委員会、遺族らのインタビューなどで構成。学校管理下で犠牲となった理由を求める遺族らが、「本当はやりたくなかった」裁判を起こすまでの経緯を丁寧に描いた。上映時間は124分。

 21日は午後0時35分からの上映終了後、寺田監督と下村健一(しもむらけんいち)白鴎大特任教授が対談する。震災当時、内閣審議官として政権中枢で対応に当たった下村特任教授は「現場の最末端でどんな指示が出されていたのか解明しようとする監督と、いわば“両端”の混乱を重ね合わせてみることで何が浮かび上がるのか。興味深く意義深い」とコメントしている。

 22日は午前10時5分からの上映終了後、寺田監督と、映画に出演した只野英昭(ただのひであき)さんが登壇し、原告遺族としての思いを語る。

 両日のチケットは、オンラインで上映開始の20分前まで販売。同館でも購入できる。

 上映は5月11日まで。時間などはシネマロブレのホームページ参照。

 県内ではほかに、宇都宮ヒカリ座で同12~25日に上映される。

© 株式会社下野新聞社