安全運転相談4年ぶり増 栃木県警まとめ、2022年は2714件

県内の安全運転相談件数の推移

 栃木県鹿沼市樅山町の国道で2011年4月、てんかんの持病を隠して運転免許を不正取得した運転手のクレーン車に登校児童6人がはねられ死亡した事故は18日、発生から12年を迎えた。一定の病気などの影響で運転に不安を抱えるドライバーから22年に県警に寄せられた安全運転相談の件数は、前年比120件増の2714件で、4年ぶりに増加した。県警は新型コロナウイルス禍が続く中でも、患者が医療機関を受診する機会が増えるなどし、相談の増加につながったのではとみている。

 県警によると、安全運転相談はてんかんや統合失調症などの病気、加齢の影響で運転免許の取得、更新に不安を抱える人や家族に県警が助言する制度。

 6児童死亡事故の前年の10年は621件だった。県警は事故直後の11年5月に県運転免許センターのみだった窓口を県内全19署に拡充。同年の相談件数は1229件に倍増した。14年は最多の3046件に上り、15年以降は2600~3千件の間で推移している。

 22年の相談のうち、病気の内訳は脳疾患が907件(前年同期比5件減)で最も多く全体の3割を占めた。次いで認知症が334件(73件減)、てんかんが250件(39件増)と続いた。

 相談の結果、運転免許の取り消しとなったのは152件(9件増)、停止は186件(11件減)。免許取り消し後も病状が回復し、適性試験に合格すれば再取得ができ、22年の再取得者は74人(3人減)だった。

 6児童死亡事故を受け、県警は窓口拡充のほか、相談内容を正確に把握しようと18年に同センターに看護師を配置し、体制を整えてきた。県警の担当者は「制度が認知されてきた手応えはあるが、まだ相談できない、しない人もいるはず」と指摘する。「事故を起こしてからでは遅い。相談者に寄り添っていくので気軽に相談してほしい」と呼びかけている。安全運転相談ダイヤルは「♯8080」。

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