茨城・下妻市 専用タクシー助成券配布 長距離移動を支援 公共交通実証実験

実証実験で使用する長距離専用タクシー助成券(左)と高齢者福祉タクシー助成券

茨城県下妻市は公共交通実証実験に向け、長距離専用タクシー助成券(長距離券)の配布を始めた。市内中心部から離れた、公共交通の「空白地域」に住む住民の利便性向上を図るため、これまで行ってきた無料の福祉タクシー助成制度を拡充し、効果を検証する。期間は今月1日から2025年3月31日までの2年間。

長距離券は高齢者福祉タクシー助成券と障害者福祉タクシー助成券と併用する仕組みで、事業費は約768万円。

高齢者福祉タクシー(22年度実績842人)は、満65歳以上で車の運転免許を保有しない人が対象。助成券は年間最大24枚から40枚へ拡充し、長距離券20枚が付く。

障害者福祉タクシー(同140人)は、身体障害者手帳(1~3級)などを交付された人が対象。年間最大48枚から72枚へ、長距離券も36枚受け取れる。

運賃助成額は各助成券1枚500円。1乗車当たりの使用は4枚までだが、実験期間は長距離券2枚を併せ、6枚まで使用可能。利用者は最大約9キロ移動できる見込み。

市は福祉タクシー券を利用する際、利用者に年月日、出発地、到着地を記入してもらい、後日回収して実態を調べる。

同市で行政が支援する公共交通バスは、主に市内中心部を走る市コミュニティーバス「シモンちゃんバス」と、JR水戸線川島駅(筑西市)と関東鉄道常総線下妻駅を結ぶ「筑西・下妻広域連携バス」がある。

下妻市は2021年11月~22年3月の5カ月間、公共交通の空白地域の解消目的で「千代川地区コミュニティバス」の実証実験を行った。しかし、151日間で利用者は750人と伸びず、1日約5人の利用にとどまった。この実績を踏まえ、市地域公共交通活性化協議会(会長・斎藤章副市長)で同地区におけるバス運行の適否を検討し、今回はタクシーで実証実験をすることになった。

市企画課の担当者は「市民の長距離移動を支援し、その実験データを基に下妻市に適した公共交通施策を検討する。長距離でも使いやすくなり、ぜひ利用してほしい」と呼びかけている。問い合わせは同課(電)0296(43)2114。

© 株式会社茨城新聞社