「子育て応援パッケージとスポーツの力で街を元気に」市政施行70年 広島・府中市 小野申人市長 ラジオで語る

市政施行70年を迎える広島・府中市の 小野申人 市長が、RCCラジオに出演し、これからの街づくりについて語りました。3年かけて取り組む子育て応援やスポーツの活用を通じて街を元気にしたい考えです。

福山市のベッドタウンと思われがちな府中市 その “多種多様”

本名正憲 アナウンサー(以下、本名)
市政施行、今年度、70年の節目なんだそうですね。おめでとうございます。

府中市 小野申人 市長
ありがとうございます。

本名
お生まれは福山市新市町で、新市というと府中に近い。

小野市長
そうですね。お隣りですから、小さい頃から府中の方に行くこともよくありました。

本名
そして、福山誠之館高校から横浜国立大学。旭化成にお勤めになった経験がおありということで、府中も新市も繊維の町でございましょう、もともと。そういう関わりとかは関係ないんですか?

小野市長
実家の方が繊維関係の仕事をしていまして、少し勉強になればと思って旭化成に入社したんですが、実は担当が住宅事業部でしたので、ほぼ繊維とは関係ないところですね。

本名
見聞を広げられたと?

小野市長
そうですね。でも今、思うと、住宅部門でお世話になった関係でいわゆる建設の業界の話とかですね、そのあたりがあらためて今になってみると、役に立つことはありますね。

本名
府中市と申しますと、イメージとして、まずは家具。家具と味噌と、最近は府中焼き。あとは繊維業であるとか、いろいろあると思いますけど、やっぱり「ものづくり」っていうイメージがすごくありますね。

小野市長
そうですね。「ものづくりの街」ということで、実は100年企業が府中市だけで60社ぐらいありまして。

本名
そんなにあるんですか。

小野市長
ええ。だから、府中市は今、人口は3万6000人少しなんですけど、その人口規模の割には長く続いておられる企業が多くて、先ほど少しご紹介いただいた味噌屋さんとか、100年以上続けていただいているところもあります。

本名
歴史のある街ですよね。一方で、街を通りますと、例えば486号線周辺の開発もだいぶ進んでいたり。だから、福山のベッドタウン的な役割もしていますでしょう?

小野市長
福山のベッドタウンと思われがちなんですが、実は昼間人口が1000人以上多くて、だいたい6000人ぐらいが福山を中心に働きに出られて、7000人ぐらいが福山を中心に府中に働きに来ていただいていて、そういった点では(福山市の)新市町とか駅家町あたりからもずいぶん仕事に来ていただいているという街なんです。

本名
そういうところなんですね。だから非常に活気もあると。

小野市長
そうですね。産業の方も機械金属であったり、繊維であったり、家具であったり、あるいは府中味噌と、非常に種類が多い。多種多様な産業がある街ですね。

人口減少… 子育て応援・スポーツの力でにぎわいを

本名
最近、何かと話題の履物の「スピングルカンパニー」。あちらも府中じゃなかったですか?

小野市長
そうです。

本名
だから、若い人向けの企業もそこに起こっていたりと。おもしろいですね。イメージとしては、とかく広島県の市町っていうのは流出が多かったり、あるいは高齢化があったりというところもあるんでしょうけれども、若い方・ヤングファミリーなんかもいらしているんじゃないですか?

小野市長
1つにはやっぱり人口が減っているという大きな課題があるんですが、若い方を市外から呼び込むという点では今、ご紹介いただいた産業であったり、あるいはまた、にぎわい作りという点では4月29日に上下町に人工芝のグランドがオープンしまして、もちろんサッカーであったり、ラグビーであったり、グランドゴルフなどで活用していただけるものと思っていますし、2年後には駅の南側にプールも作っていこうという計画もしています。昨年は、「こどもの国ポムポム」に大型遊具を設けまして、市の内外から多くのお子さん連れの方に遊びに来ていただいています。

本名
そうですか。

小野市長
やっぱりスポーツってのは今、好調のカープじゃないですけど、非常に元気づけるものがあると思っていまして、スポーツを活用して街を元気にしていきたいというふうに思っています。

本名
スポーツの拠点があり、若い人たちの交流拠点もできて、府中駅の周辺もずいぶん変わってきているみたいですね?

小野市長
そうですね。府中駅の南側に道の駅があったり、大型商業があるんですが、大型商業施設の2階に「i-core FUCHU」といって子育て施設を併設し、室内に人工芝を敷き詰めて、天候を気にせずに子どもたちが走り回れる施設もオープンしています。土日にはマルシェをやっていただいて、これも出店者の方同士が仲良くなれて、「いついつ出店するんだけど、一緒にどう?」とかいうふうに声をかけていただいて、道の駅やi-core FUCHUに出店をしていただいて、にぎわい作りを行っていただいてるというところってことですね。

本名
そうですか。インフラの部分、施設整備の部分がずいぶん整ってきている。これからどんどん整っていくということですけれども、そうすると、ソフト面ですよね。例えば、子育て支援。あるいは、ほかのエリアから住んでもらう、選んでもらう地域にするためにいろんな施策をお持ちだと思いますけれど、子育て支援についてはいかがでしょうか?

小野市長
子育て支援については、今までもネウボラ、あるいは保育所のいわゆる給食費の無料化はやっていたんですが、新たにことしから3年をかけて、3年間の子育てパッケージという形で打ち出しました。今年度は医療費の高校までの無償化であったりですね、あるいは市外へ住んでおられる方で市内に移り住もうかという方に対する助成であったり。あるいは来年度は0歳から、要するに保育料を全ての子に対して無料でやっていこうという取り組みをしています。子育てに関して言えば、子育て応援課というのを作りまして、要するに妊娠期から出産、子育てをトータルで支援していこう。もっと言えば、妊娠前の段階からも何か支援ができるんじゃないかということで応援していこうという取り組みを新たに始めます。もちろん子育てしていらっしゃる方はいろいろお悩みも持ってらっしゃる方もおられると思いますので、そういった方々も本当に遠慮なく相談に来ていただき、場合によってはこちらから出かけて行かせていただく中でしっかり支えていければと思っています。

「地域の人の力が大切 府中のよさを共有」

本名
よくメールなどでもいただくんですけれども、よその地域から来られると、もともと知り合いがあったり、ゆかりがあったりする人はいいんですけど、そうでない方って本当にさびしい思いをしなきゃいけない、どうしていいかわからないという状況にあったりするそうですね。

小野市長
まさにおっしゃる通りだと思います。よく、よそから来られる方を受け入れる条件として、1つには働く場所ってのはあると思いますし、もう1つはやっぱり周りの人の雰囲気っていいますか、そういうのも大切だと。地域の人の力というのが大切だと思います。子育てステーションの方に遊びに来ていただけば、お母さん方がそこにいらっしゃって、お子さん同士で仲良くなれるという形もよく見受けられますので、まずお母さん方が小さいお子さんを連れて遊びに行きやすい環境作りということで、先ほど言いました、こどもの国であったり、商業施設の2階の場所であったり、そういうものを作っていければというふうに思っていますし、今、取り組んでいますので、本当にお気軽にお立ち寄りいただければと思います。

本名
今後もいろいろとクリアしないといけないことがあると思いますが、現在までの進ちょく状況を自己採点されるとどんな感じでしょうか?

小野市長
なかなか自己採点も難しいんですが、おかげさまで「ありがとう」とか「楽しいよ」という声もいただいたりですね。でも、まだまだ、「こういうとこをこういうふうにしてもらいたい」っていう声もありますし、就任時から街へ出かけていって、年に10回ぐらいは若い世代の方とか、町内会長さん方との意見交換会を必ずやっているんですよね。そうしたところを通してみなさんからのいろんなご意見を頂戴しながら、もちろん街づくりに反映できるものはさせていただいていますので、そういったところを踏まえば、声を聞く中ではまだまだのところもあるかなというふうに思っていますので、60点ぐらいですかね。

本名
市政施行70年の節目を今年度、来年3月末に迎えられるということは、これはあくまでも途中経過・通過点なので、80年・100年、それから先への橋渡しという意味でいうと、今後、未来の備後府中というのは、どういう街であるというふうにイメージしていらっしゃいますか?

小野市長
やはり、住んでよかったって思っていただける。あるいは、帰ってきてよかったって思っていただける取り組みを進めていく中でやはり子育てしやすい街であったり、あるいはんもともとの強みであります産業が充実していますので、さらに産業の強みを生かしていく、それから、先ほど言いました、にぎわいの部分ではもちろんスポーツの力ってのもありますけど、逆に今度は文化の力も生かしながら取り組んでいきたいと思います。やはり住んでいただいている方に府中に対する思いを強めていただけるように、府中のよさをみんなで共有できるように取り組みをしていく必要があるかなというふうに思っています。

(RCCラジオ「本名正憲のおはようラジオ」 2023年4月13日放送より)

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