民謡と三味線 「二刀流」で全国2冠 水戸の小泉君

民謡と三味線の稽古に励む小泉拓真君=水戸市内

水戸市立寿小6年の小泉拓真君(11)が今月、津軽三味線の全国大会で優勝した。昨夏には民謡最高峰の全国大会を初出場で制しており、両大会を主催した日本民謡協会(東京)によると、三味線と民謡の双方で全国優勝するのは「前例がないのではないか」としている。小泉君は「三味線と民謡のどちらも広められる人になりたい」と話し、今後も「二刀流」の活動に意欲的。次なる全国大会に向けて稽古を重ねている。

小泉君が優勝したのは東京都内で2日に開かれた「第26回津軽三味線コンクール全国大会」。事前のテープ審査を通過した10人が出場、小泉君は約400人の来場者を前に独奏を披露し、優勝に輝いた。

琵琶や仏像など日本文化が好きという小泉君は2021年5月、民謡の魅力に触れて水戸市の民謡民舞団体「靖秋(せいしゅう)会」に入門。当初は三味線に興味を持っていたが、会主の芝間靖秋さん(64)の勧めで民謡から習い始め、同年9月に三味線の稽古も始めた。小泉君は「大きな音から小さく繊細な音まで出せるのが三味線の良いところ」と魅力を語る。

小泉君は程なくして、民謡と三味線の両面で才能を開花させた。全国の児童生徒が技を競った昨年8月の民謡民舞少年少女全国大会で小学4~6年生の部に初出場し、大洗が発祥地の一つとされる「磯節」を披露して優勝の栄冠を手にした。幼少期に民謡を始める出場者が少なくない中、小泉君は入門からわずか1年4カ月で快挙を達成。芝間さんは「その日に教えたことが、次回にはきっちりできてしまう。もはや続けた年数は関係ないのではないか」と成長ぶりに舌を巻く。

二つ目の快挙をつかんだ小泉君は10日、芝間さんとともに水戸市役所を訪れ、高橋靖市長に報告。愛用の津軽三味線を手に、力強いバチさばきも見せた。

小泉君は次の舞台に向け、技術を磨く。目前に迫るのは、5月に予選、8月に本戦があり、連覇が懸かる民謡の全国大会。小泉君は北茨城市出身の野口雨情が作詞した磯原節で、全国に茨城の魅力を届けるつもりだ。

「今年も優勝できたらうれしい。日本の伝統文化の魅力を世界に向けて発信したい」。小泉君は目を輝かせて語った。

力強いばちさばきを披露する小泉拓真君=水戸市内

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