卵不足、栃木県も影響 飲食店で販売休止や制限 学校給食もじわり

卵を使用する商品の一部欠品を知らせる「魚べい上戸祭店」の張り紙=17日午後、宇都宮市上戸祭1丁目

 高病原性鳥インフルエンザの全国的な感染拡大に伴う卵不足により、栃木県内の飲食店でも卵を使った一部商品の販売休止などの影響が出ている。すしチェーン店では卵焼きなどの販売休止・制限に追い込まれ、洋食店も看板メニューの安定提供を危惧する。学校給食への食材卸しでも、卵の仕入れに苦慮している。「何とか食材を確保したい」。飲食関係者は頭を悩ませている。

 17日午後。客足が絶えない宇都宮市内の「魚べい上戸祭店」の出入り口に、卵を使った一部商品の品薄・欠品などの「お詫(わ)び」の貼り紙が掲示されていた。同市、会社員男性(45)は「4歳の子どもがすしは玉子しか食べないので、早く通常に戻ってほしい」と話す。

 すしレストランチェーンの元気寿司(宇都宮市)は、魚べいと元気寿司の全店舗で「厚焼き玉子」の販売を休止している。また「茶碗蒸し」や「特製プリン」を数量限定販売にするなどの措置を取っている。

 同社は「入荷量によってできる範囲で販売している」とし、卵の供給状況が悪化すれば、さらに販売休止などの対応を検討する可能性があるという。

 同市の洋食店「カフェテラスLION」のシェフ入江浩史(いりえひろし)さん(41)は「今は入荷するだけまだまし。今後、発注制限になることが不安」と危機感を募らす。

 3月から卵の仕入れ値が約11%上がった。那須御養卵を2~4.5個使った自慢のオムライスやプリンを同月上旬から、約10%値上げした。「味にこだわっているので、卵の代替は利かない」と苦悩する。

 影響は学校給食にも及びつつある。県内の給食センター66カ所や小中学校255校などに給食の食材を卸している県学校給食会(宇都宮市)は、仕入れ先の食品メーカーの1社で、2月から数種類ある卵焼きが販売休止になった。白身と黄身が混ざった液「凍結全卵」は前年比の半分、冷凍食品のオムレツなどは同75%に仕入れ量が減少した。

 卵焼きは代替品で対応。一部製品は特別に9月まで供給してもらえるよう依頼した。凍結全卵は入荷量不足を在庫で補っているが、1~2カ月後には安定供給できなくなる恐れがある。

 同会の高徳周(たかとくしゅう)物資課課長補佐(49)は「なんとか食材を確保するため、各メーカーに問い合わせをしている」と奔走している。

食材の高騰に頭を悩ませる入江さん。卵の値上がりについて「今までにない上がり方」と話す=14日午後、宇都宮市山本3丁目

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