対馬で「核ごみ最終処分」説明会 市商工会会長、調査議論に意欲示す

高レベル放射性廃棄物の最終処分に関し対馬市商工会が開いた説明会=同市厳原町

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関し、対馬市商工会は19日、処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)の担当者を招き、説明会を市内で開催した。市商工会の山本博己会長は、候補地選定の第1段階となる文献調査について「受け入れ検討を市議会に求める請願書の提出に向け(市商工会の)理事会で議論したい」と意欲を示した。
 18日から2日間、市内4カ所で開き計100人弱の会員や市民が参加した。19日はNUMO側が処分の仕組みなどを説明。適地になりうる場所を示した「科学的特性マップ」を紹介し、文献調査に応じた自治体などには国から2年間で最大20億円が交付されることも説明した。
 参加者からは「調査による風評被害で地元産業に影響が出た場合、補償はあるのか」との質問があった。市商工会による市議会への請願については「拙速にせず、もっと時間をかけて考えるべき」「会員一人一人に意向を聞いてほしい」などの意見が上がった。
 山本会長は報道陣の取材に、市の人口減少や産業衰退に危機感があるとして、「(調査受け入れ検討に向けた)議論を活発にするきっかけをつくりたかった」と話した。市商工会によると、理事会は24日に開く。
 同市では以前も最終処分場誘致に向けた動きが表面化し、市議会が2007年に誘致反対を決議した経緯がある。今年3月の市議会一般質問では、比田勝尚喜市長が「市として誘致に向けた動きは何ら行っていない。市民が分断されることを一番心配している」と答弁した。

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