シカにカモシカ…市街地で野生動物の目撃相次ぐ なぜいま?遭遇時のNG行為とは?

静岡県内では4月、野生動物が市街地で相次いで目撃されています。いま、野生動物が狙っているのは私たちに身近なあの植物。専門家の話では、ばったり出くわした場合、ある行為がNGだと指摘します。その行為とは?

車の向こうに何かを見つめる獣の姿が。4月10日、浜松市中区葵西で撮影されたニホンカモシカです。

<野田栞里記者>

「ニホンカモシカが目撃された現場です。見渡す限り住宅しかありません」

さらに4月17日には東区豊町でも目撃したという情報が市に寄せられています。目撃情報は19日も…。

<目撃した人の話を聞いた住民>

「子どもたちが歩いてきたって。それを言わなきゃと思ったらしいけれどもね。そしたらにらみ合ってたらこっちへ入ってった」

<浜松市林業振興課 大平哲也副主幹>

「自ら襲ってくるような動物ではございませんので、基本的には刺激をしないようにしてください」

一方、20日朝、藤枝市ではなんと駅前の中心地でシカが目撃されました。

<山本太朗記者>

「藤枝駅から車で2~3分ほどの住宅街でけさ、シカが目撃されました。近所に住む人によりますと、この辺りでシカが発見されるのは珍しいということです」

藤枝駅前で目撃されたシカは1頭で体長は約1mだったということです。

<近所に住む人>

「実は、昨日、(藤枝市)青南町で出たという話を聞いて、調べて、目撃はできなかったけど、知り合いが見て、ビックリして大声を出したと言っていた」

<山本太朗記者>

「次にシカが目撃されたのは、平成記念病院近くにある、水上東交差点付近です。ご覧のように、交通量は多い場所となっています」

20日朝、シカが最初に発見されてから30分後、次に目撃されたのは交通量の多い交差点付近でした。

近年、頻繁に人が住む場所で目撃されるシカ。これらのシカは「アーバン・ディア」と呼ばれ、住宅地や商業施設で事故につながるリスクがあり、危険視されています。なぜ今の時期、街中でシカが目撃されたのか。県の担当課は、ある作物が関連していると指摘します。

<静岡県志太榛原農林事務所 寺田真子主査>

「若い青草、おいしい青草が生えてくる時期は、いろいろな場所に食べに出てくることが考えられる。田んぼの植えたばかりの稲も被害に遭うことがある」

2カ所目で目撃された場所から一本道路を入ると田んぼが広がっています。新緑のこの季節、田んぼの若草は狙われるリスクがあるというのです。群れで行動するシカは繁殖力が高いとされています。シカの数が増え、食料が奪い合いとなり、奪い合いに負けたシカが市街地に食料を求めて下りてきたとも考えられているのです。

もし、市街地でシカにばったり出会ったら…NG行為があるんだそうです。

<静岡県志太榛原農林事務所 寺田真子主査>

「スマホを構えてシカに近づいて行く行為は、動物もおびえて飛び掛かってくることも考えられるので、近寄らないということに注意してもらいたい」

野生動物をめぐってはこれまで農作物などを食べられてしまう食害が問題になっていましたが、実は今、その被害は減る傾向にあります。2021年はピークの半分以下まで減っているんです。県はこれまでの対策が功を奏したと分析していますが、野生動物との共生はこれからも続いていくため大きな課題として残っています。

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