拝殿の床下にやつれた子猫…助けた結果、いつしか「看板猫」に 福井県の劔神社、県外から見に来る参拝客も

毛繕いに勤しむちゃちゃ=4月17日、福井県越前町織田の劔神社
多くの参拝客から人気を集めている劔神社の看板猫「ちゃちゃ」=4月17日、福井県越前町織田の同神社

 福井県越前町織田の劔神社で、1匹の猫が人気を集めている。交流サイト(SNS)などを通じて、かわいらしい姿と愛嬌抜群の性格が参拝客の間で話題となり、その姿を一目見ようと県内外から多くの人が訪れている。同神社の田中紘範権禰宜は「癒やされること間違いなし。狙い目は晴れの日。気軽に会いに来てほしい」と話している。

 猫は1歳ほどの雄で、茶と白のしま模様の体から「ちゃちゃ」と名付けられた。昨年3月ごろ、同神社の拝殿の床下で生後間もない子猫が鳴いていたところを田中権禰宜が発見。憔悴した様子を見かねて1~2カ月間餌をあげていたところ、次第になつくようになった。

 餌代や去勢費は職員が出し合い、成長を見守ってきた。今では、約1万坪の境内を縦横無尽に駆け回ってモグラやカナヘビなどを追いかけて遊んだり、お守りなどを授与する授与所などの前でひなたぼっこしたりするのが日課の、好奇心旺盛な猫に成長。なでられたり、人に体をすり寄せたりするのが大好きな人懐っこい一面も見せるようになった。

 ちゃちゃは参拝客の間で「かわいい猫がいる」と話題に。2度、3度と足を運ぶ人やSNSを通じて存在を知り一目見ようと、県外から訪れる人も増えている。中にはおやつを持参する参拝客もいて、田中権禰宜は「いつの間にか神社の“看板猫”になっていた。ちゃちゃの存在が参拝客が神社に親しみを感じるきっかけになっていて、本当にありがたい」と笑顔を見せる。

⇒【写真】田中権禰宜と仲むつまじい様子の「ちゃちゃ」

 同神社は2021年12月、社務所を焼失した。ショックを受け、ぽっかりと空いた職員たちの心を癒やしてくれたのもちゃちゃだった。田中権禰宜は「自分たちにとってちゃちゃが仕事の活力になっているように、参拝客にとってもそんな猫であってほしい」と話していた。

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