対話型AI

 「超」の付く苦手分野だと自覚していて、個人的にはあまり関わり合いになりたくないのだが、そんな思いをよそに、活用範囲は文字通り日増しに拡大している気がする。パソコンやスマホで質問を入力すると、人工知能(AI)がネット上の膨大なデータを基に自然な答えを返してくれる…というアレ▲神奈川県横須賀市は昨日、対話型AI「チャットGPT」の業務への試験導入を始めた。「人々が幸せになるために自治体が何ができるか考えたときの一つのツールだ」と市長▲どこかから過去のデータを探してきて簡潔にまとめる-各種の広報や会議録の要約など行政事務にはそうした仕事も多そうで、有能な機械が手早く代行してくれるのなら大歓迎、というのも一つの考え方ではあるのだろう▲しかし、人間が自分たちの居場所をAIに差し出してまで進める効率化や合理化とは何なのか、とつい考えてしまう。“人にしかできない仕事”はきちんとイメージできているだろうか▲マニュアルと前例に従うことだけを考えて、切ったり貼ったりして一丁上がり-そんな仕事ばかりしているからこんな発想が生まれるのだ…と、いつもの憎まれ口を思いついたが▲あっ。チャットGPTなら、もっと効果的な憎まれ口をきっとスラスラと…。怖くて試せない。(智)

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