ハロウィーンで射殺、遺族が米国の学生に訴えたこと「息子の死無駄にしない」

留学生に銃規制強化の重要性を伝える服部美恵子さん(京都市上京区・同志社大)

  31年前に米国留学中に銃で撃たれて亡くなった服部剛丈(よしひろ)さん=(当時16)=の両親が20日、京都市上京区の同志社大で講演した。服部さんをしのんで設立された基金で留学している米国の学生約20人に「息子の死を無駄にはしない」と銃規制強化の重要性を訴えた。

 服部さんは1992年、ハロウィーンパーティーの会場を間違え、誤って入った敷地の住人に射殺された。基金は、銃規制の市民運動を継承し、異文化を理解する人材をはぐくもうと服部さんのホームステイ先だった夫妻が提案。夫妻の出身校・米カールトン大で2019年に設立されて以降、交流がある同志社大への短期留学に活用されている。

 講演では、服部さんの父政一さん(76)と母美恵子さん(75)が事件を振り返り、銃社会を見直そうと集まった182万筆の署名をクリントン元大統領に渡した経緯などを紹介した。一方、銃による暴力が続いている現状を憂い、「若者がその危機に関心を持っていることが私たちの希望だ」と強調。銃規制強化に向けた共感が広がることを期待した。

 カールトン大から留学中の男子学生(20)は「銃を巡る問題はすぐには解決できないが、よりよい未来になるようにできることを考えたい」と話した。

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