LINE機能をメタバース化  高齢者も操作分かりやすく 長崎大グループ開発 雲仙で実証実験へ

タブレット端末に表示されるアバターのイメージ。中央のアバターに触れるとメッセージが読み上げられる=長崎市、長崎大

 長崎大の研究グループは通信アプリLINE(ライン)のグループ機能をメタバース(仮想空間)化する「Metaverse Exchanger(メタバース・エクスチェンジャー)」を開発した。デジタル機器に慣れていない高齢者でも操作が分かりやすいのが特徴。今夏から雲仙市の約20世帯で実証実験を始める。
 開発したのは情報データ科学部の小林透教授のグループ。メタバース・エクスチェンジャーは、既存のLINEグループをメタバース化し、グループ構成員のアバター(分身)をタブレット端末に表示できる。メッセージを受信し、中央に表示されたアバターをタップすると、メッセージが読み上げられる。送信する際は自分の声でメッセージを入力できる。
 事前に設定しておけば端末の電源プラグを差し込むだけで専用アプリが立ち上がる。画像や動画の送信もでき、簡単な操作でアバターの表情を「うれしい」「悲しい」などに変えられる。
 雲仙市によると、同市の高齢化率は約35%と県内で高く、高齢者だけの世帯も多いという。担当者は「デジタルに疎い人でも使いやすい。離れて暮らす家族に電話をかけるまでではない用件でもLINEなら自分の好きな時間に気軽に送れる。高齢者のコミュニケーション量が増えるきっかけになってほしい」と期待を寄せた。

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