ウクライナ避難民の心の声聞きたい「平穏取り戻すケア継続を」公的援助もなく

オンラインで避難民の心理カウンセリングに当たるウクライナ人女性(神戸市内)

 日本に避難したウクライナ人に無料の心理カウンセリングを続けている京都市の市民団体が、運営費の確保に苦慮している。精神的不調を訴える避難民の数が想定を上回り、財源不足から相談の一部を制限せざるを得なくなった。団体は「心の平穏を取り戻すケアを継続したい」と、クラウドファンディング(CF)で資金援助を募っている。

 「うつ病の一歩手前で、常に泣きたかった」「睡眠障害になり、家族に八つ当たりした」。母国語でオンラインカウンセリングを行う「外国人女性の会パルヨン」(東山区)には、日常を奪われた避難民から苦悩の声が次々に届く。

 カウンセリングは昨年7月に始め、今年3月末時点で相談者は57人、実施回数は約480回に上る。年明けからは月100回ペースと希望者が急増し、当事者からは「気分が安定した」「孤独や無力感が軽減された」と効果を実感する声が寄せられているという。

 一方、パルヨンの代表理事でフィンランド出身のハッカライネン・ニーナさん(大津市)は「資金的に苦しく、精いっぱい」と表情を曇らせる。ウクライナ人の女性カウンセラー3人に相談回数に応じた報酬を支払うなど運営費は年間1千万円以上かかる見込みだ。日本財団(東京)などからの助成金約150万円は既に底を突き、同会の資金も残り少なくなった。現在は経費を抑えるため、深刻な状態の相談者を除いてカウンセリングの頻度を減らしている。

 ロシアの侵攻開始から1年が過ぎ、避難民の悩みは多様化している。ハッカライネンさんは心理面のサポートを長期的に続ける必要があるとし、「公的な援助がほしいが見当たらず、市民の支援をお願いしたい」と訴える。

 CFサイトにはパルヨンのホームページから入ることができる。受け付けは5月末までで、目標額は588万7千円。返礼品はウクライナから避難した子どもらが描いた絵などがある。

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