羽二重餅の老舗「松岡軒」が和カフェ…福井市の本店内にオープン メニューは春夏秋冬

羽二重餅の老舗松岡軒を継ぐためUターンし、本店を改装して和カフェをオープンした淡島智子さん=4月21日、福井県福井市中央3丁目

 福井を代表する銘菓「羽二重餅」を製造販売する老舗「羽二重餅総本舗松岡軒」(淡島律子社長)は、福井市中央3丁目の本店を改装し4月21日、店内に和カフェをオープンした。北陸新幹線県内開業を見据え、淡島社長の長女智子さん(49)が東京からUターンし、後継者になるとともに新事業展開を決意。智子さんは「創業時から続く伝統の味を大切に守りつつ、アレンジしたスイーツを提供していきたい」と意気込んでいる。

 松岡軒は1897(明治30)年に羽二重織物を扱う織物屋として創業。2代目が和菓子店に事業転換し、1905年に羽二重餅の製造を始めた。現在は大手百貨店など全国で販売する。また本店の夏季限定メニュー、かんなびきのかき氷が有名で、明治期から変わらぬ製法で提供している。

 2014年に4代目洋さんが死去。跡を継いだ5代目律子さんも高齢となり、事業承継について県事業承継・引継ぎ支援センターに相談していたところ、東京で25年ほど国会議員の秘書を務めていた智子さんが6代目を継ぐことを決意。22年にUターンした。

 「約130年続く店なので重圧だったが、新型コロナウイルス禍で自分と向き合う時間が増え、店の将来を考えるようになった。北陸新幹線開業を見据え、羽二重餅で福井を発信していきたいと思った」と智子さん。本店を訪れる県外客からカフェを求める声が多く、和カフェの開業を決めた。

 改装した店舗は、経(たて)糸を2本通す羽二重織物の特徴をイメージした木製の意匠で内外装を統一するなど、和モダンな雰囲気に仕上げた。和カフェのスペースはカウンターとテーブル席の計30席を用意。改装資金は国の事業再構築補助金と日本政策金融公庫福井支店の融資を受け、県事業承継・引継ぎ支援センターが事業計画づくりを支援した。

 和カフェのメニューは、クリームと羽二重餅の食感が楽しめる「抹茶パフェ」や「どらやきロール」などを考案し、県内のお茶屋とタイアップしてこだわりのお茶を提供。器も越前漆器や越前焼などを使用している。かんなびきの「手かき氷」は、カウンター越しに氷をかんなで削る実演が楽しめる。

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 冬はぜんざいなどを検討しており、季節ごとにメニューを変えていきたい考え。智子さんは「本店でしか味わえないスイーツを提供したい。県内客や県外の観光客に福井らしさや福井の良さを発信していくカフェにしていきたい」と話している。

 和カフェの営業時間は午前11時~午後5時。当面、木曜日は休む。

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