前専務 起訴内容認める 大津漁協詐欺で初公判 水戸地裁

国の雇用調整助成金(雇調金)を不正受給したとして、詐欺の罪に問われた大津漁協(茨城県北茨城市)の前専務理事で同市大津町五浦1丁目、石川秀夫被告(65)の初公判が21日、水戸地裁(山崎威裁判官)で開かれた。石川被告は「(主張は)ありません」と起訴内容を認めた。検察側は「社会的な被害は深刻」と指摘して懲役2年を求刑し、即日結審した。判決は5月15日の予定。

検察側は冒頭陳述で、石川被告は雇調金を受領しなければ市場食堂が赤字となるため、「実際は出勤している従業員でも休業していることにしてしまえばよいと考えた」と経緯を説明。発覚を防ぐため、タイムカードを廃棄するよう職員に指示したという。

被告人質問で石川被告は、「最初は犯罪の意識があり自問自答した。ばれないだろうという気持ちに動いてしまった」と語った。

弁護側は、私的な着服はなく、漁協が全額を返金予定であるとして、執行猶予付き判決を求めた。

起訴状によると、石川被告は組合職員2人と共謀し、2020年7月1日から21年12月9日まで、同漁協が直営する市場食堂(同市関南町)の従業員3人を休業させたように装い、計16回にわたり虚偽の申請書を提出し、現金計183万9千円を振り込ませ、だまし取ったとされる。

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