作家・故 宮﨑康平さんの妻 和子さんの足跡たどる  22日から特別展 島原城観光復興記念館

宮﨑和子さんのアルバムにあった夫・康平さんとの写真を紹介するゆうきょの会代表の廣瀬さん=島原城観光復興記念館

 「まぼろしの邪馬台国(やまたいこく)」などで知られる長崎県島原市の作家、故宮﨑康平さん(1917~80年)の妻で、昨年5月に93歳で亡くなった和子さんの足跡をたどる特別展「和子と宮﨑康平」(同市教委、ゆうきょの会主催)が22日、同市城内1丁目の島原城観光復興記念館で始まる。夫婦の仲むつまじい写真や、和子さんの旺盛な文化活動を物語る書など、初公開資料も含め約80点が展示される。

宮﨑和子さん

 島原文化連盟などによると、和子さんは1929年朝鮮半島・平壌生まれ。中国・北京を経て46年、佐世保へ引き揚げた。NHK福岡放送局放送劇団員で25歳だった55年、失明のため島鉄常務を辞任していた康平さん(当時37歳)と福岡で出会い、その後、康平さんから島鉄バスガイドの育成指導の要請を受けて島原に着任。58年、29歳で結婚した。
 康平さんの創作活動を口述筆記などで支え、67年には邪馬台国が島原にあったと論じる同作を刊行し、第1回吉川英治文化賞を夫婦で受賞した。島原市選管委員長は95年から約2年務めた。
 会場には、和子さんが所属していた文化サークル「ゆうきょの会」メンバーらが宮﨑家所蔵のアルバムから複製した写真44点のほか、和子さんがしたためた百人一首の書、和子さん愛用の二胡(にこ)や康平さん愛用のステッキなどを展示。写真には、同作執筆のため作った立体地図を確かめる康平さんに手を添える和子さんや、2008年に島原ロケがあった映画「まぼろしの邪馬台国」で主演した吉永小百合さんを案内する和子さんの姿が写っている。
 内覧会が20日開かれ、同市教委の林田智恵学芸員は「和子さんは献身的な夫人というイメージで語られるが、没後も康平さんの著作を世に出すなど同志というべき存在だった。島原で女性初の選挙管理委員長を務めるなど視野が広く、すてきな女性だったことを知ってほしい」と話した。
 ゆうきょの会代表の廣瀬智子さん(69)は「和子さんは80代でも外国の方と物おじせず交流されていた。和子さんと康平さんお二人の功績を後世に伝えたい」と話した。特別展は5月14日まで。入場無料。問い合わせは市教委(電0957.68.5473)。

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