佐伯市蒲江の葛原地区、念願の常設神楽殿が完成【大分県】

葛原地区の念願だった常設の「葛原神楽殿」が完成=佐伯市蒲江葛原浦
完成記念の春祭りで神楽を舞う葛原岩戸神楽保存会

 【佐伯】佐伯市蒲江葛原浦の葛原郷土文化保存伝習所横に、葛原地区の念願だった常設の神楽殿が完成した。同地区に御嶽流神楽が伝授されて130年。伝統文化を継承してきた葛原岩戸神楽保存会(甲斐昭弘会長、24人)は「新たな施設を拠点に、地域を盛り上げていきたい」と張り切っている。

 完成した「葛原神楽殿」は県産材を使った木造平屋(99平方メートル)。6メートル四方の舞台に絶妙な弾力を施すなど、随所にこだわりが込められている。舞台脇には笛、太鼓、かねの奏者スペースや、着替えなどに使える控え所も。総事業費は約1400万円。

 同保存会は地区の天満社の春と秋の祭りで神楽を奉納している。昨年までは木材などを会場まで運んで舞台を組み立て、終われば片付ける―といった作業を続けてきた。同地区は高齢化が進む上、仕事の関係などで平日は若い世代が集まりにくく、近年は負担が大きくなっていた。

 昨年4月、危機感を強くした保存会の若手らが常設神楽殿建設に向けて動き始めた。同9月の地区総会で了承を得、県の地域活力づくり総合補助金(事業費の2分の1補助)も受けて同12月に着工した。

 今月15、16の両日に完成記念を兼ねた春祭りがあり、同保存会と三重松尾神楽保存会、宇目神楽保存会が出演。大勢の住民らを前に、真新しい建物で伝統の神楽を舞った。

 谷口九州男区長(66)は「神楽はもちろん、盆踊りやコンサートなどのイベントにも利用し、地域の人たちが楽しめるようにできれば」。同保存会の樋口勝典会計担当(42)は「子どもたちに何を残していけるのか。伝統文化の継承とともに、活用策なども考えたい」と話した。 

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