<南風>理解してくれる祖母

 私の心は中性だ。男でも女でもない。気づいたのはここ数年だ。20歳ごろまでは、男性とお付き合いしていた。男性の方が付き合った数は多いが、女性と付き合う年数が長い。同性と付き合うと、異性と付き合う時にはないメリットもある。いつか、そのお題で執筆したい。

 父方の母。私からすれば祖母(80)は、人として尊敬できる人だ。父が小学校高学年の頃に離婚したそうだ。女手一つでここまでやってきた。一人で小料理屋的なお店を切り盛りしながら家事もこなしていた。幼いときには何も感じなかったが、大人になり私自身が親の手を離れ、いろいろ気づかされることがあった。

 祖母は店をほぼ休んでいなかっただろうが、家は常にきれいだった。食器洗い以外の家事をしている姿をあまり見たことがない。人がいる時は、おもてなしをして帰ってからまた見ていない間に家事や片付けを済ませるのだろう。苦労を見せない人だ。私は祖母のやることや言葉がよくフラッシュバックする。

 そんな祖母は、早い段階から私が同性と付き合っていることを知っていた。祖母世代は理解できない方が多いだろう。理解に乏しい。私からカミングアウトすることはあまりない。

 祖母へのカミングアウトは、私が直接伝える前に父が伝えたのだ。祖母は私に「直接伝えてほしかった」と残念がっていた。面と向かってそのことを話してくれた。今でもその気持ちがうれしかったことを覚えている。本当は心の片隅で同性パートナーへの反対の気持ちもあったに違いない。

 「あなたの人生なんだから」と仕事やプライベートのことも、いつも「頑張りなさい」と応援してくれる。理解するしないや、受け入れる入れないなどは世代ではなく、その人の柔軟性、人柄の問題なのかもしれない。

(比嘉利加、フリーランス)

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