食事や学用品に「はぐくむ券」 長崎・諫早で3歳~中学生に無料配布 地元NPO寄付呼びかけ

券を受け取りに来た親子=諫早市、アエルウエスト特設会場

 「子どもの貧困問題」を受け、企業や団体、市民など市内外からの寄付金を原資に展開する本年度の「諫早こどもはぐくむ券プロジェクト」が21日、長崎県諫早市で始まった。市内協力店での食事やテイクアウト、学用品や日用品の購入に使える同券を、集まった寄付額に応じて発行し、希望する市内の子ども(3歳~中学生)に無料配布する。配布場所となった栄町のアエルウエスト特設会場には初日、多くの親子が訪れ、「家計が助かる」「食べに行くのが楽しみ」などと笑顔を見せた。
 プロジェクトは「子どもを地域の大人みんなで支え、育てていく」ことを理念に一昨年、諫早青年会議所が企画し、昨年から地元のNPO法人シームレス(上野辰一郎理事長)が引き継いだ。昨年は4~9月の期間中に約300万円が集まり、計約5500枚を配布。今年(配布期間は9月上旬まで、使用期間は同30日まで)も、ひとり親家庭の市母子寡婦福祉会会員向けと、一般家庭向けとに分けて配る。使用券は同法人が1枚600円で換算し、協力店に支払う。月に1人1枚の受け取りが原則だが、生活に困窮している家庭から追加の希望があれば柔軟に対応するという。
 一般家庭向けの配布初日、会場には多くの親子が姿を見せた。子ども2人を連れた北原奈津紀さん(31)は「子育てにはお金がかかる。物価高の中で助かる」、娘の瑠唯ちゃん(5)は「ハンバーガーを食べに行きたい」とうれしそうに話した。
 一般向けの4月分は23日までの3日間で終了し、計700枚を配布。原資の確保が喫緊の課題で、同法人は「寄付金が集まらなければ、券を発行することができない。地域に根付いた活動にするためにも支援をお願いしたい。継続的に寄付していただけたらありがたい」と呼びかけている。寄付に関する情報などは同プロジェクトのホームページに掲載している。
 問い合わせは同法人(電0957.46.6464、平日午前9時~午後4時)。

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