「自分は捨て駒」「面会のたび涙と後悔」なぜ特殊詐欺に…“少年の声”配信で抑止へ=静岡県警

息子や孫を装い、お金をだまし取るなどの特殊詐欺事件。静岡県内では2022年の1年間で約9億円の被害が確認されています。一連の事件で目立つのが20歳未満の少年の関与です。県警は実際に事件に関与した少年らにインタビューし、動画サイトに公開しました。その狙いとは?

<詐欺に加担した若者>

「役割は受け子です。シグナルというアプリで、荷物を受け取る時は常に電話をつなぎっぱなしで、指示役から言うセリフや行く場所を伝えられます」

インタビューを受けているのは、県内の少年院にいる15~19歳までの若者5人。5人はだまし取った現金の受け取りや引き出しをする「受け子」や「出し子」として特殊詐欺に加担して摘発されました。

<詐欺に加担した若者>

「6割は断れなかったのと、4割はお金欲しさでやってしまった」

「友人から『日雇いバイトがある』と言われ、紹介というか『やらないか』と言われ、そのとき日雇いバイトを探していたので、ちょうどいいと思って『受けるよ』とOKした」

きっかけを語った若者。それは身近なものでした。

県警によりますと、2022年、県内では17人の少年が特殊詐欺に加担したとして検挙されていて、2021年と比べて9人も増加しています。

<詐欺に加担した若者>

「1回やめたくて1回逃げたんですが、『逃げられねえよ』と脅されたので」

「捕まる以外に抜け出せる方法が分からず、(逮捕されて)安心した。母親が面会に来るたびに涙が出て、後悔して。やらなければよかったなと」

県警は特殊詐欺に加担した当事者の「生の声」を配信することで、犯罪に加担する若者を減らせればと考えています。

<県警人身安全少年課 小澤哲也警部>

「少年たちから寄せられる言葉の中には『間違った仲間意識を持っていたことに気づいた』とか『上の人が楽して安全に大金を手に入れるための捨て駒だと分かった』などの言葉があり、きっと当時の自分に伝えたかった言葉だと感じられました」

特殊詐欺に加担した若者たちのインタビューを警察が公開するのは全国で初めてで、県警は今後、この映像を活用し、少年たちの非行防止にも活用していくとしています。

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