エアコン生産、国内回帰 栃木事業所で「白くまくん」の出荷式【動画】 日立ジョンソンコントロールズ空調

新設されたルームエアコンの標準モデルの生産ライン=26日午前、栃木市

 日立ジョンソンコントロールズ空調(東京都港区、秋山勝司(あきやましょうじ)CEO=最高経営責任者)は26日、栃木市大平町富田の栃木事業所で、中国から生産を移管したルームエアコン「白くまくん」の標準モデルの出荷式を行った。世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱などを受け、日本向け製品の安定供給を図るため生産の国内回帰を進めた。新たな生産ラインを3カ月という短期間で立ち上げ、量産化にこぎ着けた。高級モデルと合わせ、2024年には栃木事業所の生産規模を従来の約2倍に引き上げる方針。

 栃木事業所は同社のルームエアコン生産の開発拠点で、高級モデルの製造も手がけている。

 22年3月に、日本向け標準モデルの製造を中国・安徽(あんき)省の工場に移管した。しかし、新型コロナウイルス禍に伴う上海のロックダウン(都市封鎖)の影響や半導体不足などにより生産が滞り、日本で欠品となる事態が起きたという。

 製品の安定供給を最優先に検討した結果、製品が消費者に届くまでの期間が海外より3週間短縮でき、フレキシブルな生産や輸送コストの低減なども図れるとして、標準モデルの生産を栃木事業所に移管した。

 同事業所では、今夏の需要期に間に合わせるため、通常の半分の期間で生産ラインを構築。作業導線の最適化や自動化を図ったほか、カメラ装置を使った検査なども導入し、品質や生産性を高めた。

 今月中旬に室内機、室外機の生産を開始しており、国内向けルームエアコンの同事業所の生産比率はこれまでの30%から50%に高まるという。新生産ラインの稼働に伴い、100人超の従業員を新規採用した。

 出荷式に出席した同社の泉田金太郎(いずみだきんたろう)ヴァイスプレジデントは「栃木で設計し、栃木で生産した『メイドイン栃木』の製品として1台でも多く、利用していただきたい」と強調。25年に同事業所が開設80周年を迎えることから、「地域に貢献していくことはわれわれの責務」と述べ、栃木重視の考えを示した。

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