救急隊員、患者宅に医療かばん忘れる 劇薬や器具入れたまま 大津市消防局

大津市役所

 大津市消防局の南消防署に所属する救急隊が、出動先の患者宅に薬品や医療器具の入った救急かばんを忘れていたことが、26日分かった。かばんには劇薬のアドレナリンなどが入っていたが、隊員が取りに戻るまでの約1時間、患者宅に置いたままにしていた。その間の出動先でも処置が必要だったが、救急車に備え付けの器具などで対応したという。

 市消防局によると4月10日午前、南消防署の救急隊員3人が大津市内の民家で患者の救命処置をした際、医療品の入った救急かばんを室内に忘れたまま患者を搬送した。次の出動先へ向かう途中で手元にないことに気付いたという。

 隊員が約1時間後に取りに戻るまでの間は救急車に備え付けの器具と薬品を使用したため、「他の患者の処置や搬送には影響がなかった」としている。

 市消防局は「搬送時に急いでおり、3人のうち誰かがかばんを持ったと思い込んでいたようだ」と説明。「市民に実害は出ておらず、(かばんが)盗難に遭うような状況ではなかった」と判断し、隊員への処分はしていない。

 一方、この問題を受けて市内全署の救急隊長を対象に再発防止会議を開いた。京都新聞社の取材に「持ち物に不備がないか改めて確認手順を徹底したい」としている。

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