GW国内旅行、好調 茨城県内持ち直し 旅館満室、業界手応え

パソコン画面で予約状況を確認する旅行会社スタッフ。インターネットからの予約が多いという=水戸市酒門町

最大9連休となる今年のゴールデンウイーク(GW)で、国内旅行の需要が好調だ。新型コロナウイルス流行が落ち着きを見せ始めたことを背景に、茨城県内の旅館予約にも持ち直しの動きが広がっており、一部では満室になる旅館も。人手不足の悩みはあるものの、観光業界の関係者は手応えを感じ始めている。

■爆発的増加
国内外の旅行を企画する「タビットツアーズ」(水戸市)柏村祐二社長は、昨年の状況と比較し「今年の国内旅行は爆発的な増加」と驚きの表情。予約はコロナ禍前の状況に近づいており、北海道、沖縄、大阪など有名観光地が人気という。その半面、円安の影響で海外旅行の動きは鈍く、茨城空港発着の台湾旅行の一部に売り切れが出たにとどまるという(25日現在)。

国内旅行需要の持ち直しについて、柏村社長は「コロナ禍でリモートワークの会社もあり、GWに限らず、人目を気にせず休みが取りやすくなったのでは」と推測する。

個人旅行をインターネットで取り扱う日本旅行(東京)によると、GW(4月26日~5月6日)期間中、国内旅行の予約は前年比220%と大幅増。首都圏や京阪神エリアの都市部が人気が高いという。海外旅行はわずかに動き始めた程度で、同社の広報担当者は「旅先の感染状況など、急な変更のリスクを回避するため、(旅行の)直前に予約する傾向にあるのでは」とみている。

■足りぬ人手
国内旅行の需要持ち直しの動きは、県内の観光地でも現れ始めた。

袋田の滝に近いホテル「袋田温泉・思い出浪漫館」(大子町袋田)によると、最近の宿泊予約は、2019年の同時期に比べ7割程度まで戻っており、1泊2日の旅行客を中心に4月29日とGW後半の5月3~5日は満室(24日現在)だ。

老舗旅館「筑波山江戸屋」(つくば市筑波)の宿泊予約も関東近郊の客を中心に4月29日、5月3、4日が満室(同)だ。

ただ、同館は20年以降のコロナ禍で休館が続いた結果、現在の従業員数はコロナ前の約6割にとどまる。従業員の休みを確保するため、書き入れ時にもかかわらずGW期間中の5月1日に休館する予定。担当者は「本当は営業日数を増やし、宿泊客のニーズに応えたいのだが」ともどかしそうに語った。

■バス満席も
JR東日本が発表したGW期間(4月28日~5月7日)の指定席予約状況は、新幹線が18年比94%、前年比199%だった。在来線は18年比で107%となっており、新幹線ではコロナ禍前の水準に届いていないが、利用全体では回復傾向にあるとみられる。

常磐線特急「ひたち」「ときわ」の予約は、18年比126%、前年比153%と、既にコロナ禍前の水準を超える好調ぶり。JR水戸支社の担当者は「旅行機運の高まりが予約にもしっかり表れている」と話す。

好調なのは高速バスも同様だ。関東鉄道(土浦市)によると、同社高速バスの予約席数は約7割ほどまで回復しているという。

中でも、水戸発で土浦・つくばを経由し、大阪・京都へ向かう夜行バスは、4月28日~5月7日までほぼ満席の状態。また、羽田や成田、茨城空港と県内を結ぶバスでもインバウンド(訪日客)による利用増を見込んでいる。

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