プラズマ乳酸菌で新型コロナ症状改善 長崎大臨床研究 日本呼吸器学会で発表

プラズマ乳酸菌の臨床研究成果について説明する山本客員教授(右)ら=東京都内

 長崎大は28日、キリンホールディングスが研究開発する「乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」について、新型コロナウイルス感染症患者に対する嗅覚・味覚障害の改善やウイルスの早期減少などの効果を特定臨床研究で確認したと明らかにした。東京都内で30日開く日本呼吸器学会で発表する。
 研究を担当した山本和子長崎大客員教授(琉球大大学院医学研究科教授)らが都内で会見。それによるとプラズマ乳酸菌はウイルス感染防御を担う免疫系の司令塔「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化する乳酸菌で、キリンが2010年に発見。インフルエンザなど呼吸器ウイルス感染症で症状緩和効果などが報告されてきた。
 長崎大は21年12月から同大学病院でプラズマ乳酸菌に関する特定臨床研究を開始。県内の新型コロナ患者で宿泊療養施設に入った軽症者のうち50人に同乳酸菌を含むカプセルを、46人に同乳酸菌を含まないプラセボ(偽薬)のカプセルを2週間投与、比較検証した。
 その結果、同乳酸菌を服用した人では嗅覚・味覚障害の改善やウイルス量の減少を早める効果のほか、pDCを血中に維持する効果が認められた。ただ呼吸困難感など自覚症状の総合点では両群に差異は認められなかった。研究の計画後にオミクロン株が拡大し、差異が見えにくくなった可能性があるという。
 山本客員教授は「新型コロナが5類に移行し、軽症患者に、より手軽な治療や補助療法が必要となる。研究成果が課題解決への一助となる可能性がある」とした。


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