茨城・日立駅前 買い物客戻る 商業施設開業 活性化に期待

開店前から行列ができた日立駅前大型商業施設「ヒタチエ」=日立市幸町

JR日立駅前の新たな商業施設「ヒタチエ」が28日、茨城県日立市幸町で開業した。総合スーパーの撤退から約1年3カ月。市街地のにぎわい創出が叫ばれる中、リニューアルオープン初日に訪れた市民や周辺商店主からは、買い物環境の改善や駅前活性化に期待の声が上がった。

同施設は駅前開発の商業拠点として1991年に完成。30年にわたり営業を続けたイトーヨーカドー日立店が昨年1月に閉店したことから、市が駅前の空洞化に歯止めをかけようと9億5千万円で土地建物を取得して改装し、新たなテナントを誘致した。

同日は午前9時半の開店前に約800人の行列ができた。飲食店など一部店舗の開業は7月にずれ込んだが、第1弾として全37店舗のうち生活雑貨や食品スーパーなど22店舗がオープンし、大勢の買い物客でにぎわった。

開店2時間前に来て一番乗りとなった同市田尻町の本田啓子さん(63)は「駅前に活気がなくなり寂しかったので良かった」と歓迎する一方、「郊外店に行く人も多いので同じような事態にならなければいい」。近隣で1人暮らしの女性(80)は「買い物が不便になって困っている人が多かったから一安心」と胸をなで下ろした。

市内の県立高3年の男子生徒は同級生4人で訪れ、お目当てのバウムクーヘンを購入。「最近は足が遠のいていた。気軽に立ち寄れる場所ができたのは大きい」と笑顔を見せた。

市は同日、マイカーや路線バスでの移動が難しい市民を支援するため、公共交通の空白地区とヒタチエを結ぶ直行便の運行も開始。ワゴン車が計8ルートを1日3便運行する。

商店街の期待も大きく、ひたちぎんざもーる商店会の鵜木賢剛会長は「人の流れが変わり、商店街に足を向ける人が増えてほしい」と期待を寄せる。市は近年、空き店舗対策として新規出店者に最大100万円を補助するなど活性化を支援してきたが、高齢化や後継者不足などで閉店も相次ぐ。

同施設と一体整備が図られたパティオモール商店会の佐藤洋一郎会長も、今後に向けて「駅前や商店街に注目する若者たちと協力したイベントで駅前を盛り上げたい」と語った。

同日開かれた記念式典で、小川春樹市長は「このエリアの都市機能を存続させるのは市の責務。新たなにぎわい創出に努めていく」と述べた。

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