煙害生き抜いた「孤高のブナ」 ボランティアが保護活動 希望のブナも植樹【動画】

中倉山の頂上近くに立つ「孤高のブナ」の保護活動に当たる参加者ら=日午前時分、日光市足尾町、ドローンから

 日光市足尾町の中倉山(1530メートル)頂上近くにあり、足尾銅山の過酷な煙害を生き抜いた1本のブナの保護活動が29日、森林再生に取り組むボランティア団体「森びとプロジェクト」(東京都品川区)によって行われた。

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 周辺の松木渓谷の木々は煙害により消失。中倉山の稜線から渓谷を見下ろすように立つブナは樹齢120年以上と推定され「孤高のブナ」と呼ばれる。

 2004年に発足し松木渓谷などで森づくりに取り組む同団体は、ブナの保護活動も毎年4月下旬と11月上旬に行う。今回は過去最多の約40人が参加した。

 参加者は午前8時に登山を始め、約2時間で山頂付近に到着し作業を開始。土壌流出を防止するため腐葉土を植生袋に詰め、ブナの根元へ46袋を張り付けた。

 その後、同団体が孤高のブナの実から育てた幼木1本を稜線から約30メートル低い位置に植樹。清水卓(しみずすぐる)副代表(61)が「歴史を語り継ぐ希望になるということで『希望のブナ』と名付けたい」と呼びかけると参加者から大きな拍手が起きた。

 活動には高校生や児童の姿も見えた。那須拓陽高2年本田凪(ほんだなぎ)さん(16)は「みんなで知恵を合わせ協力する姿を尊敬する。自分たちも後世につないでいけたら」と語った。

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