全小学校に「ペッパー」導入1年、児童に変化は あいさつ運動でも活躍 京都・亀岡

ペッパーの動作をタブレット端末でプログラミングする青野小の児童(亀岡市宮前町・同小)

 京都府亀岡市の小学校全18校に、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」が導入されてまもなく1年になる。府内では唯一の試みで、プログラミングに関心を持ってもらおうと、児童がプログラムを考えて動かす学校があるほか、あいさつ運動や授業にも活躍している。

 「マイクロプラスチック問題を解説するよ」。青野小(宮前町)の玄関口に立つペッパーが胴体や腕も動かし、2022年度の5年生が制作したポスターをアピールする。

 プラスチックごみの削減を訴えるポスターは階段下のスペースに張られており、目に付きにくかった。5年の男子児童(当時)はペッパーにPRを担ってもらおうと、専用のアプリで独自のプログラムを組んだ。「自分の思った通りに体が動くのが面白い」と目を輝かせる。

 クラブ活動に取り入れる学校もある。本梅小(本梅町)では2月下旬、「ICTクラブ」の4~6年生の部員が音声や動作をプログラミングして動かした。設定通りにしゃべったり腕を動かしたりすると、児童たちは「すごい」と歓声を上げた。

 ペッパーが登場したのは2020年10月。教育事業連携に関する協定を結んでいたソフトバンク(東京)から2台を借りた。1台は保津小(保津町)に置き、もう1台は環境問題を解説するプログラムを搭載し、希望する学校に貸し出して環境学習に活用した。

 21年度から全児童にタブレット端末が導入され、デジタル教育が本格的に開始。ペッパーは児童の評判が良かったことから、22年度に各校1台ずつに増やした。全てリースで維持管理費を含め年間約500万円をかける。

 多くの学校では玄関前に立ち、登校時間帯には児童にあいさつするほか、設定によって「今日は全校集会があるよ」など行事予定も教える。英語や国語、算数などのドリルのアプリも入っており、言葉と胸元のモニターで出題して児童が答える形で、授業で使われるケースもある。市みらい教育リサーチセンターの谷口正二所長は「活用には差があるが、学びの幅が広がりつつあるのではないか」と手応えを感じている。

 23年度は英語学習への活用をより進める予定で、同センターとソフトバンクがペッパーと会話しながら学ぶ新たなアプリを開発している。谷口所長は「他ではできない経験をしてもらえるよう取り組んでいきたい」と話している。

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