ちばてつやさん、ヤマザキマリさん…人気漫画家が雁皮紙に描いた墨絵14点 福井県越前市で漫画正倉院展、安彦良和さん、村上もとかさんも

耐久性に優れる雁皮紙人気漫画家が描いた墨絵の展示=福井県越前市の紙の文化博物館

 「あしたのジョー」のちばてつやさんら人気漫画家が、耐久性に優れた雁皮(がんぴ)紙に描いた墨絵を披露する漫画正倉院展が4月29日、福井県越前市の紙の文化博物館で開幕。漫画を千年後にも伝える手法を模索する「『和紙と漫画』の文化と保存を考える会」が主催。漫画家4人が特別に描いた原画と、最新技術による複製合わせて14点を披露している。

 ちばさんのほか、「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを手掛けた安彦良和さん、「龍―RON―」や「JIN―仁―」の村上もとかさん、「テルマエ・ロマエ」の作者であるヤマザキマリさんの作品が並ぶ。

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 雁皮紙は虫害に強く、東大寺正倉院(奈良市)には約1300年前の文書が残っている。今回は縦約50センチ、横約30センチの越前和紙の雁皮紙に、各作家が墨と筆を使って1、2点を制作。これを富士フイルムビジネスイノベーションジャパン京都支社が、最新技術で複製した。このほか、あしたのジョーなどの貴重な原画も複製した。

 これまで漫画の原画はケント紙を使ってきたことから劣化が激しく、同会が長期間にわたり保存する方法を研究している。昨年8月からさまざまな漫画家に制作を打診。4人が無償での制作に応じた。

 漫画家それぞれの持ち味が存分に味わえる作品が並ぶ。使用した植物ガンピ100%の和紙は消しゴムが使いづらく、ほとんど鉛筆の下書きをせず描いた作品もあるという。同会代表の田中保さん(69)は「今後、コウゾを配合するなど研究し、漫画が描きやすく長期に保存できる紙を研究していきたい」と話していた。

 6月26日まで。午前9時半~午後5時。火曜日休館。入館料は300円(高校生以下は無料)。

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