95歳の後藤さん、大分市のこども園に竹とんぼ120本贈る 制作が活力に【大分県】

どうわこども園の園児に手作りした竹とんぼをプレゼントした後藤萬市さん(中央)=大分市本神崎

 【大分】大分市本神崎の後藤萬市さん(95)が27日、同地区の「どうわこども園」に手作りの竹とんぼ120本を贈った。3年ほど前から病気の影響で生きる気力が低下し、食欲もなくなった。「竹とんぼを作ろう」。心配した担当の介護福祉士や理学療法士、家族が連携し、得意な竹細工を勧めた。制作活動が励みとなり、活力を取り戻したという。

 後藤さんは1994年、妻の末子さん(89)と一緒に別府市で1年間、竹工芸の教室を受講した。以前は自分で竹を切り、バッグなど数々の作品を制作した。しかし、3年ほど前、心不全を患い、週3回通う「こうざきデイケア・リハビリテーションセンターもみの木」でも、「何もできん」と投げやりな言葉が増えた。

 介護福祉士の大倉明美さんが「前のように籠を作ったら」と勧めたが、「手がかなわん」と返答。会話の中でたびたび出ていた竹とんぼを思い出し、「竹とんぼなら作れるのでは」と提案した。理学療法士の岩元慎吾さん(32)も「子どもたちに贈ろう」と100本を目標に設定。昨年10月から、後藤さんはもみの木や自宅で竹とんぼを作り始めた。

 家族も一致団結。30代の孫らが「じいちゃん、記念に作ってね」と励ました。後藤さんはもみの木で「あれをせないかん」と自発的に制作の手順を考えるようになった。岩元さんは「施設で運動する気力もよみがえった」と振り返る。末子さんは「竹とんぼで変わった。生き生きとしてきた」と喜ぶ。

 こども園では後藤さんが5歳児の19人一人一人に竹とんぼを手渡した。園庭で飛ばして遊ぶ子どもを見ながら、「楽しかった」と笑顔を見せた。大倉さんらが「次は竹で水鉄砲を作ろうか」と問うと、「見本があればできる」と意欲を見せた。

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