鳴滝塾模型と慶賀のびょうぶ 複製品が完成 シーボルト来日から200年 長崎市が7日までお披露目

完成した鳴滝塾の模型の複製品=長崎市、シーボルト記念館

 長崎市は4月25日、江戸時代の出島オランダ商館医シーボルトの初来日から今年で200年になるのに合わせて進めていた、国外の歴史資料2点の複製品製作が完了したと発表した。シーボルトが現在の同市鳴滝2丁目に開いた「鳴滝塾」の模型(ドイツ・ミュンヘン五大陸博物館蔵)と、シーボルトのお抱え絵師川原慶賀が描いたびょうぶ「長崎湾の出島の風景」(オランダ・ライデン国立民族学博物館蔵)の複製品。どちらもゴールデンウイーク期間中、市民らへのお披露目として公開する。
 シーボルトは1823年に初来日。現在シーボルト記念館がある場所に私塾兼診療所の鳴滝塾を開設し、門人に西洋医学や自然科学を伝授。日本の調査にも取り組み、川原慶賀に日本の動植物や風景、風俗などを数多く描かせた。
 鳴滝塾の模型は木製、一部和紙製で幅約60センチ、高さ56センチ、奥行き32センチ。実物はドイツで1996年に発見された。内部の間取りなども詳細に再現されており、市は鳴滝塾の復元を検討する際の資料として実物を調査し、3月に複製品を完成させた。製作費約590万円。
 びょうぶは八曲一隻で幅4.7メートル、高さ約1.7メートル。実物は2017年にオランダの個人宅で見つかり、21年に修復が完了。江戸時代の長崎港図としては最大で、当時の様子が詳細に描かれている。複製品は約540万円をかけ、3月に完成した。
 5月7日まで鳴滝塾模型をシーボルト記念館(1日は休館)で、びょうぶを同市出島町の国指定史跡「出島和蘭商館跡」でそれぞれ展示。市の来日200周年記念式典がある10月から本格的に展示する。市文化財課は「貴重な資料のお披露目を皮切りに記念事業を進めたい」としている。

川原慶賀「長崎湾の出島の風景」の複製品=長崎市、出島和蘭商館跡

© 株式会社長崎新聞社