長崎県内観光地でGW準備着々 コロナ「リベンジ消費」見据え 人流回復に期待

クルーズ船受け入れを再開した長崎県。GWは多くの観光客でにぎわいそうだ=長崎市、グラバー園

 新型コロナウイルス感染者数の減少や対策緩和で今年のゴールデンウイーク(GW)は、長崎県内各地で多くの人出が見込まれる。本格的なコロナ禍からの「リベンジ消費」を見据え、各観光地で着々と準備が進む。

■飲食業に参入
 長崎市・端島(軍艦島)の周遊クルーズを運航する軍艦島コンシェルジュは、3月の国際クルーズ船受け入れ再開に合わせて、長崎港松が枝岸壁近くに「Cafe X(カフェ・エックス)」をオープンした。

外国人観光客も訪れる「Cafe X」=長崎市松が枝町

飲食業参入は初めて。コーヒー焙煎(ばいせん)機など1千万円以上を設備投資した。外国人観光客の反応も上々という。30日~5月6日の上陸ツアーは完売。久遠裕子統括マネジャーは「待ちに待った観光シーズン。カフェにも多くの来客を期待している」と声を弾ませる。
 グラバー園や大浦天主堂がある南山手地区でも期待の声が聞かれた。土産品を扱う「長崎べっ甲店」は、訪日客の反応がいい商品を「多く仕入れようかな」。一方で、同業者の「長崎夢奉行本舗」スタッフは「GW中は(全国旅行支援の)地域限定クーポンが使えないので売れるか不安」と漏らす。

■ドラマの舞台
 連続テレビ小説「舞いあがれ!」の舞台となった五島列島。五島市観光協会の担当者は「全国的に認知度が高まり、GWの宿泊や体験イベントの問い合わせが増えている」と話す。
 高級リゾートホテル「五島リトリートray(レイ)」は首都圏からの客を中心に満室状態。別のホテルは予約がコロナ禍前の9割程度まで戻ったが、全国旅行支援適用外により「思ったより伸び悩んでいる」。市内のレンタカー会社は連日予約で埋まり「今年は帰省客も多い」と人流の回復を実感している。
 「波佐見陶器まつり」はコロナ禍前に30万人を集客していた長崎県内最大の陶磁器イベント。3年ぶりの開催だった昨年より3万人多い25万人を目標に据える。ただ悩みの種はコスト高。人件費、資材費が軒並み上がっている。それでも、実行委事務局は「出店者にとって書き入れ時。コロナ禍から回復しきっていないため(集客に)期待しているはずだ」と前を向く。
 佐世保市のハウステンボス(HTB)はGW中に多様なイベントを企画。担当者は「感染が落ち着いてきて、多くの客に来てもらえそう」と期待する。
 県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事は、GW中の長崎県内宿泊施設の予約状況は「コロナ前とほぼ変わらない」。価格帯や地域を問わず、高い稼働率という。
 JR九州によると、28日~5月7日の西九州新幹線(武雄温泉-長崎)の指定席予約率は26日時点で39%。ピークは下り、上りいずれも5月3日で、下りは62%。九州急行バスの高速バス「九州号」(福岡-長崎)でも満席の便が出ており、期間中に増発する。

■感染リスクも
 コロナ対策の緩和後、急激な陽性者の増加は見られないが、先行きは不透明。「コロナ禍前のように普通に旅行を楽しむのはまだリスクが高い」と指摘するのは国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)。「高齢者や重症化リスクのある人はその場の状況を判断してマスクを着けるなど身を守り、接する人も配慮をしてほしい」と話す。

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