四輪駆動化された『ルノー・クリオ・ラリー3』が出撃準備完了。FIA認証を得てERC第2戦から参戦可能に

 欧州域内最高峰のERCヨーロッパ・ラリー選手権でのさらなる成功に向け、シリーズ初となる四輪駆動の新型『ルノー・クリオ・ラリー3』の開発を進めてきたルノーだが、そのラリー3規定準拠のニューモデルが改めてFIA世界自動車連盟のホモロゲーション認証を取得。5月4〜6日開催のERC第2戦『ラリー・イソラス・カナリアス』からの実戦投入が認可された。

 この年明けより続けられてきた認証プロセスが完了し、晴れてFIAレベルの競技イベントでクルマを使用する準備を整えた同社だが、その開発には言わずと知れたヴィリ・シャティオンのデザインチームと、アルピーヌの“聖地”ディエップ、ジャン・レデレ工場の設計部門、そしてBWTアルピーヌF1チームの本拠地であるイギリス・エンストンのファクトリーが共同で携わる、グループの総力を結集した意欲作となっている。

 前出のとおり1月から集中的な開発プログラムを受けてきた『ルノー・クリオ・ラリー3』は、すでに5000kmを超えるテストマイレージを重ねており、先日にはフランス国内のグラベル・ラリー選手権開幕戦で“ゼロカー”も務めた。

 近年はアルピーヌ・ブランドでモータースポーツ活動を主導するルノーだが、本格デリバリーに向け準備を進めるルノー・スポールのカスタマー・レーシング部門によれば、この新型は公式デビュー以降「ラリー競技者やオブザーバー、ファンの間で好奇心、熱意、そして強い関心を呼び起こした」という。

 その言葉どおり、今回のFIAホモロゲーション承認取得に際するリリースには「初登場から3週間後、第5世代のルノー・クリオにおける最新のスポーツバージョンは、国際モータースポーツ統括団体との認証手続きを完了しました。本日より新型『ルノー・クリオ・ラリー3』は、ローカルイベントからWRC世界ラリー選手権まで、幅広いラリーに参加する資格を得ることができます」と記された。

「我々の新型『ルノー・クリオ・ラリー3』は、効率、性能、信頼性をつねに追求し続けるヴィリ・シャティオンとディエップの技術チーム、そのすべての経験とノウハウの恩恵を受けています。ルノーのカスタマーレーシング・プログラムの長年のパートナーでもあるカストロールは、タイヤメーカーのミシュランと同様に、四輪駆動車にとって特に重要なエンジンとトランスミッションの潤滑を最適化するため、このクルマの開発段階で重要な役割を果たしてきました。そのパフォーマンスはすでに実証済みです」

ラリー3規定準拠のニューモデル『ルノー・クリオ・ラリー3』は、5月4~6日開催のERC第2戦『ラリー・イソラス・カナリアス』からの実戦投入が認可された
年明け1月以降、すでに5000kmを超えるテストマイレージを重ねており、先日にはフランス国内のグラベル・ラリー選手権開幕戦で“ゼロカー”も務めた

■1.3リッター4気筒ターボエンジンは最大約264PSを発生

 年明けの1月15日にフランスとの国境にも隣接するアンドラ公国のスキーリゾート、パス・ダ・ラ・カザのトラックでワールド“フォト”プレミアを飾っている新型競技車両だが、その詳細なスペックに関しても改めてアナウンスされた。

「新型『ルノー・クリオ・ラリー3』は、我々の“マニュファクチュール”であるアルピーヌ・ディエップ、ジャン・レデレ工場によって組み立てられ、6点式ハーネスを備えた新しいFIAホモロゲーション(10年間有効)を満たすサベルト製バケットシートが取り付けられています」

「1.3リッター4気筒TCe16バルブ直噴ターボチャージャーエンジンを搭載した新型『ルノー・クリオ・ラリー3』は、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを備えたサデフ製の共通5速ギヤボックスで、最大260bhp(約264PS)と415Nmのトルクを発生します。外観では、エアロダイナミクスはルノー・グループ内の多くの相乗効果の恩恵を受けており、ヴィリ・シャティオンはエンストンのBWTアルピーヌF1チームの専門知識とコンピューティング・リソースを活用し、この新型『ルノー・クリオ・ラリー3』のリヤウイングを設計することができました」

 そのパフォーマンスを支える脚元には、最先端かつ実績ある調整可能なBOSサスペンション製ダンパーを装備。さらにライフ・レーシング製ボックスコントロール・ユニットが電子制御システムを管理し、エンジンとシャシーのデータ収集システムを統合し、一元管理している。

「そのホモロゲーション登録段階を前に、このモデルはすでに世界で40人以上の顧客を惹きつけており、2020年と2021年に発売以来、前輪駆動の世界で証明されてきたラリー5とラリー4の勝利の軌跡をたどるべく、最初のデリバリーとその競争デビューへの道が開かれるでしょう」

 プライベーターチームやドライバー向けに設計された新型『ルノー・クリオ・ラリー3』は、すでにジャン・レデレ工場宛に注文が可能となっており、ターマックとグラベルの各バージョンは、組み立てと塗装が施されたフランス現地の登録料込みで、どちらも付加価値税を除き12万2000ユーロ(約1800万円)となっている。

カスタマー・レーシング部門によれば、この新型は公式デビュー以降「ラリー競技者やオブザーバー、ファンの間で好奇心、熱意、そして強い関心を呼び起こした」という
ターマックとグラベルの各バージョンは、組み立てと塗装が施されたフランス現地の登録料込みで、どちらも付加価値税を除き12万2000ユーロ(約1800万円)となっている

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