「ふわふわをわくわくに変える」 京都・京田辺のまちづくりアドバイザーが描く地域の姿とは

「子どもたちが社会人に憧れるような社会にしたい」と思いを語る高橋さん(京田辺市三山木中央・市南部まちづくりセンター)

 京都府京田辺市三山木中央に昨年5月オープンした市南部まちづくりセンター(愛称ミライロ)で、まちづくりアドバイザーの高橋 博樹さん(51)は、市民の思いをアイデア段階から形にしていく市民活動の支援を担う。

 「ふわふわをわくわくに変える」。自らの仕事をそう表現する。子どもや母親たちの居場所づくり、ひきこもりや不登校の子どもたちのカウンセリング…。支援をもとに多様な取り組みが生まれている。

 まちづくり活動との接点は、脱サラして京都府南丹市の京都伝統工芸大学校で学び、木工職人として2006年に仲間と立ち上げたNPO法人の活動から。共同工房を運営し、子どもや地域団体を対象にものづくり教室を行う中で、興味を抱いた市民から「まちのために何かしたいが、どうやったら活動を続けられるのか」といった相談が毎日のように舞い込むようになった。

 「地域のキーマンとなる人たち。やり方が分からなくて(活動を)やめるのはもったいない」。同じ思いを持っていた南丹市からの業務委託を受ける形で、市民活動の中間支援を行う市まちづくりデザインセンター(同市園部町)が12年にオープン。運営を担うNPO法人テダスの代表理事を務める。市民団体向けのセミナー講師を京田辺市で務めてきた縁で、ミライロでの活動へとつながった。

 「学校と家庭に続く第3の子どもの居場所をつくりたい」「地産地消を促進したい」。多い月で延べ90人に及ぶという相談の内容はさまざま。「その人のやりたい事がスムーズに進むよう頭の整理を手伝う。すぐできる小さいステップを、簡単に見つけることが大切」と説く。

 イベントやワークショップなど活動の仕掛け人でもある。支援も含めた市民活動の取り組みは自身にとっては「グラウンド整備」。社会人は社会のありさまに責任を持とうとする人、仕事は誰かの役に立つことと語る。「子どもたちが社会人になることに憧れるような社会にしたい。このまちに生まれてよかったと言われる、そんな地域をたくさんつくりたい」。京都府長岡京市奥海印寺。

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