クールビズ

 この月曜と火曜を休みにできればどーんと9連休…なんて夢のまた夢、といつものようにネクタイを締めて出勤すると、周りの様子がちょっと違っている。あっ、そうか▲「きょうからクールビズですよ」-隣席の同僚に声をかけられ、襟元に手を伸ばしてネクタイを緩める…そんな方もおられたのではないか、と想像を巡らせる大型連休の谷間だ。昨日から5月。官公庁や多くの民間企業で夏場の軽装勤務が始まった▲ところで、改めて確認するのも変だが、「クールビズ」は、職場などで冷房の設定温度を高めにするため、ノーネクタイなどの涼しい服装での執務が推奨されたり許可されたりしているだけで、上着やネクタイの着用が厳格に禁止されているわけではない▲ところが、この社会ではそれがいつの間にかルールにすり替わって、快適に過ごすための「手段・方法」でしかないノーネクタイが「自己目的化」し、夏場のネクタイ姿に規則違反を見るような目が向けられたり、その人物が変人扱いされたりすることが起きる▲その思考パターンが、この3年間に繰り返し顕在化した「同調圧力」の遠い親戚のようなものであることには注意しておきたい▲「多様性」と言っておけば間違いのなさそうな今なのに、私たちは、その多様性がいろいろ苦手だ。(智)

© 株式会社長崎新聞社